研究課題/領域番号 |
18K10413
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
田村 康子 兵庫医科大学, 看護学部, 教授 (80326305)
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研究分担者 |
谷口 光代 福井大学, 医学部, 助教 (30613806)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 産痛緩和ケア / 助産師 / 助産師基礎教育 / 実践コミュニティ / 肯定的出産ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、産痛緩和ケアに関する助産師の実践コミュニティ形成を基盤としながら、産痛緩和ケア実践能力養成に関する基礎助産師教育における教育モデル開発を行うことである。令和4年度においては、8月後半から9月前半に現地へ渡航し、モロッコ国セタット県にあるハッサン1世大学にて令和3年度に遠隔講義と演習にて産痛緩和ケアについて教育支援をした助産学科3年生を対象にインタビュー調査と質問紙調査を実施した。加えて実習病院への訪問、産痛緩和ケアに関する教育を受けた実習指導者へのインタビュー、ハッサン1世大学へ訪問し、助産師教員や産痛緩和ケアの実践経験のある助産師と教育内容の検討を行い、10月の次年度の学生への教育準備を共に実施した。学生へのインタビューより、産痛緩和ケア教育の時期について、低学年で受けることの効果など、3年間の助産師カリキュラムでの学習内容の配置について示唆を得た。実習指導者と学生のインタビュー結果より、実習施設での産婦への産痛緩和ケアを指導者と学生が一緒に行い、実習経験を通してケアの意義の認識を深めていることが確認できた。 現地では令和4年10月より新年度となり、新たに3年生となった助産師学生に対して10月に遠隔にて産痛緩和ケアの講義と演習を実施した。講義と演習は産痛緩和ケアの実践経験を持つモロッコ人助産師と分担し、助産師教員も協力して実施し、昨年度の実施経験をふまえ、授業進行を円滑に進めることができた。現地でのコロナ感染症流行状況も落ち着き、県境を越えての移動が可能になったため、この講義演習に先立ち、モロッコ人助産師と教員が直接交流する時間を持ち、ケア実践に関する対話ができた。講義演習前の学生対象の質問紙調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度のコロナ感染症流行による影響が、研究エフォートの確保や渡航制限など本研究のすべてのプロセスに影響した。令和3年度は遠隔にて定期的に会議をもち、実習指導者や学生への産痛緩和ケア教育も円滑にて実施をしたが、遠隔を中心にしたコミュニケーションでは、対話や体験の共有がしにくく、実践コミュニティ形成への影響もみられた。令和4年度に渡航し直接関係者と話し合い、つながりの形成に着手できたこと、令和4年にモロッコ保健省管轄の助産師養成校の助産師養成が再開されたことから、研究進捗を妨げる要因の影響は減少しており、令和3年度からの教育実践のデータも得られ始めていることから、分析を進め、モデル化への考察につなげていく。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度、4年度にかけて実施した実習指導者と助産師学生の回答した尺度のデータとインタビュー結果を分析し、ハッサン1世大学の教員と共有し、モデル化への考察を行う。分析結果を助産師基礎教育の関係者(実習指導者、他の養成校の助産師教員など)とも共有し、意見を得て、モデルを洗練させる。2年度にまたがり3年生の助産師学生への産痛緩和教育を実施し、基礎教育の関係者の連携に関する課題も見出されてきている。コロナ感染症による渡航制限にてデジタルツールを用いた教育方法へ変更したが、デジタル化の活用が現存する連携の困難への対処となる可能性があることがこれまでの研究結果より示唆されており、教育DXの視点からもモロッコの助産師基礎教育関係者と意見交換し、現地での教育改革につながるモデル化への考察につなげていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗がやや遅れていたため、次年度に研究期間を延長し、次年度使用額が発生した。 令和5年度は、モロッコへの渡航に伴う経費、現地の助産師基礎教育関係者と協議するための資料や報告書作成に関するフランス語翻訳に関する経費、報告書印刷経費、郵送費用などに使用する予定である。
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