研究課題/領域番号 |
18K10414
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研究機関 | 聖カタリナ大学 |
研究代表者 |
増田 裕美 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (60442034)
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研究分担者 |
西嶋 真理子 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50403803)
仲野 由香利 聖カタリナ大学短期大学部, その他部局等, 講師 (20772859)
柴 珠実 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60382397)
齋藤 希望 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (40749800)
祖父江 育子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (80171396)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達障がい児 / 子育て支援 / 地域包括ケアモデル / ペアレント・トレーニング / 前向き子育てプログラム / 混合研究法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発達障害の特性を持つが、診断に至る前の幼児の親に対する認知行動理論に基づいたグループトリプルPを用いて、グループ支援と個別支援に加えて当事者同士の支援を複合した地域包括子育て支援モデルを開発し、地域における利用しやすい子育て支援拠点を創設することである。混合研究法によりその介入効果を明らかにする。 本研究における学術的独自性は、(1)トリプルPによる介入を、発達障害の診断前の幼児の親への支援として実施することである。また、 (2)トリプルPによる、グループ支援と個別支援を複合した地域包括子育て支援モデルの開発がある。平成30年度の研究計画は、グループトリプルPを用いた地域包括子育て支援モデルの開発として、平成29年度に実施した、公立保育園分室子育て支援センターにおけるグループトリプルPを継続して実施した。その結果、介入前は対象者の子どもの行動による子育てのストレスが伺えた。母親はプログラムの初期から育児場面で起こっている児の問題行動のきっかけや親の行動の影響への気づきがあり、介入後は過剰反応、子育ての困難度等に改善傾向が見られるとともに、児の「交友問題」「社交的行動」が臨床範囲から境界範囲になる等の変化が見られ、一定の効果があると考えられた。地域子育て支援拠点と連携することで、子どもが1歳から5歳の就園前或いは就学前の早期にアプローチすることができた。親が子どもの問題行動の原因に気づき、相応しい対応方法を実践できることで、子どもの問題行動が減少し、親の困難度の軽減や自信につながると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象者は、発達障害の特性を持つが、診断に至る前の幼児の親であり、今年度公立保育園分室子育て支援センターでの教育プログラム実施に当たっての託児の受け入れ人数(10人程度)に限界があることが課題として挙がり、受け入れ体制について関係者と協議が必要な状況であった。 また、本研究の創造性は、(1)発達障害児の子育て支援モデルを地域の子育て支援拠点において提供し、(2)当事者支援を取り入れた地域包括子育て支援モデルとして創設することである。当事者支援を取り入れた地域包括子育て支援モデルの開発のため、今年度の受講者に対して、来年度のプログラム説明会において当事者の経験を語る場を設けることとなった。このため、支援モデルの開発を来年度も継続して実施する。平成29年度開設の松山市総合コミュニティセンター子ども館のひろば型子育て支援拠点での支援モデル実施について関係協力者と協議し、計画するには至らず、次年度の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の核心をなす学術的な「問い」は、確定診断に至るまでの長期間、問題行動に戸惑い苦しむ発達障害の幼児と、高いストレス状況にある親に対して、適切な子育て支援が実施されていないことである。介入計画およびプログラムの混合研究法による評価について、文献検討および混合研究方法の探究が必要であり、次年度の課題とする。
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