研究課題
本研究の目的は、当事者視点のQOL評価を導入したハイリスク妊婦の支援モデルを開発することである。本研究においては、助産師を対象としたフォーカス・グループインタビュー調査を実施する計画であった。しかし、COVID-19の感染拡大による緊急事態宣言の発令、所属機関の感染対策取り組み通知などから県を跨いだ移動について制限があったため、計画修正の必要性が生じた。2021年度にwebを用いた個別のインタビュー調査を助産師5名に実施した。調査は、ケア提供者である助産師にケアの受け手側である妊婦の入院生活におけるQOL構成要素を素材として提示し、従来行われているケアとの整合性、改善可能なケアについて半構成的面接を実施した。研究目的に沿ってコード化し、類似性や共通性、相違性をもとにカテゴリ化し、探索的内容分析を用いて分析を行った。その結果、従来行われているハイリスク妊婦へのケアとの整合性ついては,より当事者の立場で行うケアの必要性として〈母児の健康状態に関する情報提供や説明を行う〉、〈気分転換や不安を和らげるために意識的に声をかける〉、〈希望に沿った食事変更を細目に行う〉3つが抽出された、改善可能なケアとしては,〈面会場所・時間、方法を柔軟にし、家族の時間を持てるようにする〉、〈大事にしていることや入院生活・出産・育児に向けた要望を引き出す〉の2つが抽出された。今回の結果から、緊急性が高く、急変時の対応が求められるハイリスク妊婦へのケアにおいても、助産師は女性と胎児の健康ニーズ、妊婦の希望を尊重し、十分な情報提供と説明に焦点を当てたケアの概念であるWomen-Centered Careのアプローチを理解し、ハイリスク妊婦へのケアを実施していくことの必要性が示唆された。
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