研究課題/領域番号 |
18K10419
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
津田 朗子 金沢大学, 保健学系, 教授 (40272984)
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研究分担者 |
斎藤 瑠華 金沢大学, 保健学系, 助教 (50846681)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 性の多様性 / LGBT / SOGI / 看護教育 / 子ども |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、性の多様性をふまえた看護教育の実現に向け、看護系大学の学生および教員を対象に性的マイノリティや性の多様性に対する意識、及び教員に向けては教育の実態に関する調査を行い、看護教育を行う上での課題を明らかにすることである。そのためには、ます教育を受ける学生側の性的マイノリティ(以下マイノリティ)に対する意識や課題を明らかにする必要があった。そこで、2018年度は教育を受ける学生側の性的マイノリティ(以下マイノリティ)に対する意識を調査し、2019年度は、その結果を25th World Nursing and Healthcare Conference、およびThe 6th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Scienceにて発表した。また、結果を学内外の教員およびジェンダー論を専門とする研究者らと検討した。学生はマイノリティへの関心が高い一方で、正しい知識の正答率は20~50%と低く、偏見があるとの意識を持つ者が20%みられた。これらの学生の意識は、過去の経験や知識の程度、関心の高さ、心理的距離感、受容度と関連していたが、学校で学んだ経験との関連はみられていなかった。したがって、学生の意識を発展させていくためには、学びが経験と結びつくようアクティブラーニングを取り入れた教育方法の工夫や仕掛けが必要であると考えられた。これらの結果を反映させ、看護系大学の教員を対象とした、性的マイノリティや性の多様性に対する意識及び教育に関する実態調査に向け、教員の意図・意識をより具体的に調査できるよう、教育のねらいや方法の工夫、分野間の連携などの視点から調査項目の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該の研究計画では、学生への意識調査の結果を含め、教員を対象とした教育に関する実態調査の調査項目を検討し、10月頃の全国調査を行うことを予定していたが、調査項目の検討に予定よりも時間を要し、実態調査の実施にはいたらなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.看護系大学の教員を対象とした全国調査:対象は全国の看護系大学(国立44、公立50、私立189 計283) の看護教員に、各大学宛に郵送で調査用紙を複数部ずつ配布し、分野別の回答(基礎、成人、老年、精神、母性、小児、地域など)を所属長に依頼、個別郵送法により回収する。調査内容は、性の多様性や性的マイノリティに関する看護教育(授業科目、内容、時期、ねらい、教授方法、時間数 、課題など)、意識(看護教育を実施するうえでの困難、葛藤、疑問、体験など)、学生の学習環境に関する配慮等とする。 2.調査の結果を用いて、看護教員、臨床の看護師、学部学生、大学院生等を対象にワールドカフェ形式の意見交換会を実施し、性の多様性をふまえた看護教育の在り方と、性の多様性をふまえた看護教育の実現に向けた課題を検討する。 3.関連学会および論文により成果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は看護系大学の教員を対象とした全国調査を実施予定で、それに向けた準備を始めていたが、調査の内容の検討などに時間を要し、実施予定であった全国調査を実施できなかった。そのため、全国調査にかかる郵送通信費、会議費、および人件費を執行しなかったことにより未使用額が生じた。2020年度は全国調査を実施予定であり、調査実施にかかる郵送通信費、会議費、データ整理にかかる人件費として使用予定である。また、学生を対象とした調査の結果を論文投稿する予定であり、そのための英文校閲費等として使用予定である。
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