研究課題/領域番号 |
18K10422
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
千場 直美 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (90347005)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 更年期女性 / ヘルスケア / 予防 / 健康教育 / ピアエデュケーター |
研究実績の概要 |
本研究は、更年期女性の健康維持増進のための予防的健康教育を効果的行うために、教育開始時期、教育者、教育内容について検討し、教育者の育成につなげることを目的としている。本年度は、教育的介入を行い、その効果を判断し、ビアエデュケータの育成プログラムの開発を予定していたが、COVID-19の感染拡大により、介入の実施が困難であると判断し、事前調査の実施と分析を行うことに計画を変更した。 調査対象の一部である20歳代女性は、80~90%が月経随伴症状を有するが、初経教育以外の月経教育はほとんど受けていない。月経随伴症状や更年期症状に関する教育の希望する者は多いが、教育を受ける機会はなく、苦痛や不安を抱えて日常生活を送る者がほとんどである。母親でさえも教育を受けておらず、母娘ともに月経に関する知識がなく、対処できていないことが以前の調査によりわかっている。 調査①では、20歳代女性の健康管理の1つとして、プレコンセプションケアの知識と行動について約80名の調査結果、CFKS-J(妊孕性知識尺度)平均は46.7%であり、世界18か国の平均56.9%より低い結果であった。また、妊孕性維持行動には性成熟期女性のヘルスリテラシー尺度得点との関連がみられた。このことより、20歳代女性に対する女性のヘルスリテラシー向上とプレコンセプションケアを含めた、女性特有の総合的かつ長期的な視点の健康教育の必要性が示唆された。 調査②では、女子大学生20名にWEBにより、月経随伴症状の知識とその対処を中心にした月経教育を実施し、月1回の個人面談を3回行い、フォローした。結果、健康行動と対処行動の増加がみられたが、月経随伴症状の改善までには至らなかった。知識を得ることや個別相談に応じることで、健康行動の変化がみられたが、症状改善には更なる教育内容の改善と、介入方法の工夫が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、更年期女性の健康維持増進のための予防的健康教育を効果的行うために、教育開始時期、教育者、教育内容について検討し、教育者の育成につなげることを目的としている。本年度は、教育的介入を行い、その効果を判断し、ビアエデュケータの育成プログラムの開発を予定していたが、COVID-19の感染拡大により、対面および集団で行う教育介入の実施が困難であると判断した。また予定人数の確保が難しいため、計画を変更し、実施可能な事前調査を行った。 対象の一部であるとしていた20歳代女性のプレコンセプションケアと月経随伴症状への対応に関する予備調査を実施した。20歳代女性は妊孕性知識が低く、十分な健康行動がとれていないこと、また、月経に関する情報や知識も低く、対処行動も十分にとれていないことがわかった。20歳代女性の月経や妊孕性に関する知識と行動は十分でなく、現状の維持改善について課題を有しているばかりでなく、生涯を見通した女性に特有の月経関連の情報や知識は不足していることがうかがえた。女性のライフサイクルに関連した健康教育や月経教育がほとんどなされておらず、健康行動がとれないため、20歳代女性の心身の健康状態に影響を及ぼすことが予測された。20歳代女性に関しては性成熟期における月経関連の健康問題、将来の妊娠を見込んだプレコンセプションケア、成熟期以降更年期の健康を見据えたライフサイクルに関連した健康教育が必要であると考えられる。20歳代以降の30歳代女性、40歳代女性の月経関連の健康課題に関しては今後、具体的に明らかにし、健康教育の内容の検討に役立てる計画である。 COVID-19の感染拡大が落ち着かない状況であるため、状況にあわせて調査内容の変更を随時行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染拡大により、当初予定していた集団健康教育による介入調査が困難な状況に陥っている。多人数の介入対象の募集、集団教育、継続的介入、等難しい状況である。また、集団で実施予定であったピアエデュケーターの育成教育も難しい状況にあるため、計画の修正変更が必要であると考えている。今後、教育的介入研究を効果的に実施するための準備として、20歳代女性、30歳代女性、40歳代女性の各年代における月経に関する健康問題と対処についての課題を明らかにし、各年代に必要な教育内容を検討し、教育マニュアルを作成する予定である。 計画の修正変更があるため、研究について倫理員会の承認を得た後に研究を再開する。調査用紙の調節配布や回収が難しいため、WEBを通して調査実施予定である。調査後、介入内容について検討し、各年代に応した教育マニュアルを作成予定。介入研究のための対象募集が難しい状況であり、対面による直接的な教育介入も難しい状況であるが、可能な限りWEBで試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大により、予定していた研究の実施が困難な状況であった。介入研究の対象募集、対面による集団教育、調査等すべて実施困難となったため、計画していた調査を一時中止した。計上していた調査や学会発表のための旅費については国内外の移動が困難となったため次年度に繰り越した。調査を一時中止したため、調査手伝い・データ入力等で必要であった人件費・謝金も執行できず繰り越した。また、調査に必要な物品・郵送・印刷費用も執行できず、翌年に繰り越した。
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