研究課題/領域番号 |
18K10425
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中尾 優子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40325725)
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研究分担者 |
大脇 哲洋 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50322318)
根路銘 安仁 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00457657)
山本 直子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (10594864)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 乳房マッサージ / 超音波画像 / 母乳 / 産褥 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、データの蓄積を行った。今年度までに15例の横断と5例の縦断調査を実施した。5例の縦断調査は産後、2日目、3日目、4日目と連続で行った。マッサージ前後では、うっ積あるいはうつ乳による乳房緊満が軽減し、乳房内の変化は超音波画像により、乳腺幅の縮小と間質(周囲間質と浮腫状間質)の見え方が明瞭となることが今年度のデータの蓄積により、より明らかとなった。さらに、今年度明らかとなったことは、乳房マッサージ後は乳房下の大胸筋が高エコーとして捉えられることであった。乳房うっ積(血液の貯留)と乳房うっ滞(乳汁の貯留)の画像の見え方は、ほぼ同じで、全体的に間質が不明瞭であり、点状が混入する粗密画像であった。 今年度はさらに量的に解析を行い、ランダムに初産婦3例、経産婦2例の合計5例を分析した結果、乳腺幅がマッサージ後では有意に縮小し、乳房のゆるみが見られた。さらに、マッサージされていない乳房は乳腺幅が有意に増加し、血液や乳汁の流入が行われたためか乳房の緊満が外的にも母親のことばからも顕著となった。この結果から助産師による乳房マッサージは間質間の循環を促進し(筋上皮細胞はオキシトシンに刺激されて収縮する)、乳房内圧を下げていることが示唆された。この結果は、鹿児島県母性衛生学会で発表した。 評価スケールの項目として、乳腺幅の増減、間質の画像変化、乳房下の大胸筋のエコー変化など項目内容が少しずつ明らかになってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
5月からの研究補助員の雇用にて、調査済みのデータに関しては分析が進み、結果を学会で発表することができた。その後、今年度の目標である縦断調査を進めていたが新コロナの影響もあり(研究者が研究調査に充てる時間を確保できない)、臨床でのデータ調査が進まなくなった。横断調査もデータとしてはまだ、数が不充分であると考えるため、今年度もデータの蓄積を行う必要がある。病棟での研究協力者からの説明もあり、対象者からの反応もよく、調査が実施できるようになると残りのデータの蓄積は順調に行えるのではないかと考えるが、人の移動もあるため、研究体制を再度見直していく必要がある。また、分析の知見を得るために、データ持参で専門家のところへ出張予定であったが、新コロナの影響で出張が保留となっている。
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今後の研究の推進方策 |
実施済みの縦断調査の解析とこれからのデータ蓄積の解析のために、研究補助員の雇用を開始する。明確になった内容に関しては、外国雑誌投稿に向け、論文を作成する。実施先の病棟のメンバーの移動が行われたため、実施協力者を確認し、調査が引き続きスムースに行われるよう体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
縦断調査によるデータの蓄積や有識者からの情報を得る(日本助産学会、超音波セミナー等への参加)ことが新コロナにより年度末できなかったため、データ解析の雇用や出張旅費が使用できなかった。また、データをまとめる時間もなく、英文論文の執筆にいたっていない。今後、残りのデータの蓄積を可能な限り、10月までに済ませ、評価スケール項目を列挙していく。適宜、分担者、有識者に分析内容について相談していく。新コロナによる旅費の使用より、研究環境を整える為の物品費の購入が必須となった。
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