研究課題/領域番号 |
18K10427
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
林 はるみ 群馬大学, ダイバーシティ推進センター, 教授 (80529397)
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研究分担者 |
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
日比野 由利 金沢大学, 医学系, 助教 (40362008)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 卵子提供 / 高齢妊娠 / 育児負担 / 告知 / 出自を知る権利 |
研究実績の概要 |
本年度はドナー卵子による治療をこれから受ける予定の方や検討中の方(カップル含む)4名にインタビューを実施した。その結果、ドナー卵子で治療することを意思決定するために入手した情報は、海外エージェントの卵子提供プログラム(治療の進め方、現地クリニック情報、料金、ドナー情報の開示、日本人ドナー数)が中心であり、治療することを前提とした説明を受けていた。SNSもドナー卵子で子どもを養育中の女性のブログを参考にしており、40歳以上から50歳代で妊娠した場合の高齢妊娠のリスクや高齢育児の負担、負担軽減のための準備については、情報を集めていなかった。 しかし、本研究の参加者は。自助グループと開催した「高齢で親になること」をテーマとしたセミナーに参加したことがきっかけとなり、高齢妊娠・出産のリスク等の知識を得ていた。 生まれてきた子どもへの告知は、「する」と決めているカップルは少なく、多様性が尊重されない日本社会の中で子どもに告知しても、逆に子どもを苦悩させるだけではないかと考えて「告知しない」と決めていた。一方で、将来的に子どもに隠しきれないことがおこるかもしれないという不安も抱いていた。 自助グループと共催で前述のセミナーを開催し参加者の感想を見ると、インターネット情報やSNSの信頼性に不安を抱いている方が多く、ドナー卵子で親になった女性の経験談や生殖医療や産科医療に詳しい助産師から高齢で親になるためのリスクや準備について話を聴く機会は大変有益だったとの声が寄せられた。 水面下では多くのカップルがドナー卵子の治療にチャレンジしているが、その多くは40歳以上であるため、正しい情報や高齢で親になるための身体的、精神的、社会的準備(告知含む)は重要であり、正しい情報が得られるような支援の検討が喫緊の課題と考えられる。
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