研究課題/領域番号 |
18K10435
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
岡崎 愉加 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50224001)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 思春期 / 性教育 / 親 / 家庭 / 子育て支援 / 性的同意 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、親は子どもの性的行為が伴う交際や性犯罪被害について心配しており、早まった行動をしないで欲しいがどのように教えたらいいかわからないと思っていることが明らかになっている。性的行為には、お互いの意思表示が大切であり、その都度同意を確認する必要がある。そして、性的同意を取らなければ、性犯罪につながる危険性がある。 そこで、性的同意を取り入れた性教育への示唆を得るために、大学生の性的同意に関する認識を明らかにすることを目的として、無記名自記式質問紙調査を実施し、229人の有効回答が得られた。その結果、「性的同意について知っている」男子は36%・女子は29%であった。「性行為の際に自分の意思を相手に伝えられる」男子は92%・女子は57%であった。「同意の言葉がなくても相手が嫌といってなかったら性行為をしてもいいと思う」男子は22%・女子は12%、「キスをしたら性的行為をしてもいいと思う」男子は25%・女子は8%であった。 これらの結果から、研究協力校の中学・高校生に、性的同意の理解、意思表示の大切さや性被害時の対処方法を知ることを目的とした集団指導を実施したところ、8割以上が知識を得て満足しており、自由記載からは「性的同意が大切」というカテゴリーが集約された。以上より、思春期の子どもに性的同意について教育することは重要であり、性的同意について思春期の子育てパンフレットに加筆することは、教育の一端を担う親への支援として役立つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、思春期の子どもの性の健康を守り育てるため、学校・医療・地域が連携した思春期の性に関する子育て支援システムの開発を目的として平成22年に開始した研究の第3段階にあたる。これまで研究のフィールドとしていた地域Aとその周辺地域が、平成30年7月の西日本豪雨により甚大な被害を受けたため、平成30年度は計画通りに進めることができなかった。平成31年・令和1年度になり、研究の再開に向け復興を待ったが、1年が経過しても状況は厳しく、地域Aでの研究再開を断念し、新たな研究フィールドを探しながら、本研究の支援プログラム作りに関連する研究を実施した。 また、思春期の性に関する子育て講演会を計画し、参加者の中からインタビュー協力者を探す予定であったが、講演案内を配布し参加申し込みを受け付けている最中、新型コロナウイルス感染症のため講演会を中止せざるを得なくなり、研究協力者の確保ができなかった。以上より、遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度末に研究協力が得られる公的な組織が見つかった。令和2年度はひとり親家庭を戸籍上のひとり親に限らず、単身赴任やその他の理由で実質的に一人で子育てをしている親や少年非行問題に直面している親など対象の範囲を広げて、思春期の性に関する子育ての実態や必要としている支援について明らかにするためのインタビューを実施する。その結果から、子育て支援プログラム内容を検討するためのアンケート調査用質問紙を作成する。また、ひとり親に対する思春期の子育て支援システムについて検討するため、情報収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の西日本豪雨災害と2019年度の新型コロナウイルス感染症により、研究フィールドの変更を余儀なくされ、当初の計画通りに研究が進まなかったことが主な理由である。2019年度末に研究協力が得られる公的な組織が見つかったことにより、2020年度から計画に沿って進めることが可能になったため今後は使用する。
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