研究課題/領域番号 |
18K10435
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
岡崎 愉加 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50224001)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 思春期 / 性教育 / ひとり親 / 子育て支援 / 少年非行 |
研究実績の概要 |
1.思春期の子どもをもつひとり親家庭への支援の現状 本研究は、地域におけるひとり親家庭への支援の現状と、思春期の子どもをもつ保護者への支援の現状を明らかにし、思春期の子どもをもつひとり親家庭を支援するための示唆を得ることを目的とした。各都道府県が管理しているWebサイトを対象とし、支援の実際の記述を抽出した。 ひとり親への支援は、キーワード「都道府県名andひとり親」を条件に検索を行った。結果、経済支援や就業支援等生活していくために必要不可欠な金銭を得ることを目的とした支援が多くみられた。生活環境の整備を目的とした生活支援もあった。子育て支援や子どもに対する支援は、新生児期から幼児期、学童期の子どもおよび親への支援は多いのに対し、思春期の子どもおよび親を対象とした支援は見当たらなかった。 思春期の子どもをもつ保護者への支援は、キーワード「都道府県名and性教育/都道府県名and思春期保健/都道府県名and思春期」を条件に検索を行った。結果、相談窓口は多くの都道府県にあったが、家庭での性教育に関する悩みや相談を専門に受け付けている相談窓口は見当たらなかった。相談窓口以外の取り組みとして、思春期の身体の変化や10代が多く抱える悩み・性感染症・性被害等について、保護者向けの冊子を作成しているところもあった。 2.ひとり親や少年非行に直面した保護者の思春期の子育てに対する困難感と必要な支援 本研究は、ひとり親や少年非行に直面した保護者の思春期の子育てに対する困難感や必要とする支援を明らかにすることを目的とした。研究協力者からひとり親や少年非行に直面した保護者を紹介してもらい、インタビューガイドに基づいた1時間程度の半構造的インタビューを行った。現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、思春期の子どもの性の健康を守り育てるため、学校・医療・地域が連携した思春期の性に関する子育て支援システムの開発を目的として平成22年に開始した研究の第3段階にあたり、平成30年度より開始の予定であった。 しかし、平成29年度まで研究のフィールドとしていた地域Aとその周辺地域が、平成30年7月の西日本豪雨により甚大な被害を受けたため、平成30年度は計画通りに進めることができなくなった。研究の再開に向け復興を待ったが、1年が経過しても復興の状況は厳しかったため、地域Aでの研究再開を断念した。そこで、令和1年度は、新たな研究フィールドを探しながら、本研究の支援プログラム作りに関連する研究を実施した。また、思春期の性に関する子育て講演会を計画し、参加者の中からインタビュー協力者を探す予定であったが、講演案内を配布し参加申し込みを受け付けている最中に新型コロナウイルス感染症が出現し、講演会を中止せざるを得なくなり、研究協力者の確保ができなかった。 令和2年度になり、本研究の趣旨に賛同する保健師や警察関係者が見つかり、インタビュー参加者の紹介が得られるようになったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、あと1、2例のところでインタビューを休止せざるを得なくなった。また、当初の予定では、令和2年度にひとり親への無記名自記式質問紙調査を実施する予定であったが、これも新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究協力依頼まで到達できなかった。以上より、遅れていると自己評価した。なお、ひとり親への無記名自記式質問紙調査の実施に関しては、令和3年度に研究協力依頼と実施に向けて準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により一時休止しているインタビューを、状況を見て再開する予定であるが、再開が困難な場合は、現在のインタビュー内容を分析して、ひとり親の思春期の性に関する子育ての実態や必要としている支援について明らかにする。その結果から、子育て支援プログラムの内容を検討するための調査票を作成し、緊急事態宣言が解除されたタイミングで依頼予定の機関を訪問する。ひとり親を対象とした無記名自記式質問紙調査はなるべく新型コロナウイルス感染症の状況に影響されない形で実施できるよう計画を練り、協力機関と調整する。また、ひとり親に対する思春期の子育て支援システムについて検討するため、養護教諭・保健師・教育委員会・助産師等から情報収集を行う場合は、なるべくオンラインで実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の西日本豪雨災害により、研究フィールドの変更を余儀なくされ、2019年度以降は新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年度に計画していたICM(インドネシア)での研究成果の発表や思春期保健に関する情報収集(イギリス)に参加できず、国内学会もWEB開催となったため予定していた出張費を使用しなかった。またインタビューや質問紙調査などが当初の計画通りに研究が進まなかったことが主な理由である。研究の進行は遅れているが、調査等は2021年度に実施する予定であること、研究を進めるにあたり新型コロナウイルス感染症の関連で必要になる物品を購入することなどにより、2021年度に繰り越して使用する。
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