研究課題/領域番号 |
18K10435
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
岡崎 愉加 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50224001)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 思春期 / 性教育 / 家庭 / ひとり親 / 子育て支援 |
研究実績の概要 |
1. ひとり親の思春期の子育てに対する困難感と必要な支援 ひとり親(母親)へのインタビューデータを分析中である。途中経過として、ひとり親(母親)は、子育てをめぐる祖父母との対立、父親役割をすることの困難感、男子への戸惑いなどの悩みを抱えていること、気軽に相談できるところの周知、父親モデルの提供やリラクゼーションの場などの支援が必要であることがわかってきた。
2. 思春期の子育て支援プログラム内容の検討 2022年度までに、①思春期女子の食事制限及び月経異常の実態を明らかにし、正しい食行動を獲得するために家庭の役割は大きいことから、「思春期の食生活」について子育て支援プログラムに入れることや、②HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開したことから、高校生の子宮頸がんやHPVワクチンに関する知識と意識、情報源の実態を明らかにし、HPV感染により男性もがんを発症するリスクがあることなどの情報を加えることやインターネットを用いた健康教育を子育て支援プログラムに入れることが必要であることがわかった。 2023年度は、低用量経口避妊薬(以下OC)は女性の健康問題への対処方法として有用であるにもかかわらず、日本の普及率は他の先進国に比べて低いことから、OCを継続して服用している女性の意識と行動を明らかにし、OCの服用を継続できるようになるための支援について検討した。OCの服用を継続してよかったと思うことでは、「月経痛の緩和」「月経周期の安定」などの身体状況の改善に加えて、「生活の質の向上」や「心に余裕ができた」などがあり、社会的・精神的にもよい状態を体験していることが分かった。支援では医療者が親切な対応で飲み忘れ防止の工夫をピル処方時に説明したり共に考えたりするといったことが必要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の初年度に発生した西日本豪雨災害により、研究フィールドの変更を余儀なくされた。その後、フィールドの開拓に努め、質的研究の協力者は確保できたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延によりデータ収集が計画通り進まなくなった。量的研究の方はひとり親を対象として活動していた団体が解散になるなど、研究協力依頼ができなくなった。また、昨年度は、同じ領域の教員全員が新しくかわったため、教育業務に費やす時間が増加し、当初予定した時間配分で研究を続けることが困難になった。以上より遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、インタビューデータの分析を終わらせて結果をまとめる。ひとり親を対象とした無記名自記式質問紙調査は7月頃を目標に調査協力先を探し、見つかれば実施する。協力先が得られない場合は、ひとり親家庭で育った大学生を対象にインタビューを行い、ひとり親家庭における性教育の実態と子どもの思いを明らかにして、その結果から支援策を検討する。以上の結果を踏まえて、パンフレット教材をひとり親支援の視点から見直すと共に、2023年度までに実施した研究成果をもとに「思春期の食生活」「子宮頸がん予防・HPVワクチン」「低用量経口避妊薬」について、新しい情報を加筆修正して教材を作製する。また、教育・保健医療・行政等からひとり親に対する思春期の子育て支援の情報を得ながら支援システムを考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症は5類に移行したが、看護学実習や助産学実習先の施設は感染予防対策をほとんど緩めることがなかったため、2023年度も研究成果発表や情報収集のための渡航はできず、予定していた出張費を使用しなかった。また、学内の教育・管理体制の一時的な変化により、教育・管理業務が増えたため、インタビューや質問紙調査などが当初の計画通りに進まなかった。以上より、2023年度の支出は予定よりかなり減少した。2024年度は研究課題達成に向けて研究計画を実施可能となるように修正して研究を進める。そのため、新たな教材作製や情報収集のための旅費、物品等の購入に予算を繰り越して使用する。
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