研究課題/領域番号 |
18K10463
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松浦 志保 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (60405123)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハイリスク初妊婦 / 夫 / 親準備性 / 胎児への愛着 / 親になる意識 / 親になる自覚 / 親になるイメージ |
研究実績の概要 |
長期入院を要するハイリスク初妊婦とその夫と、正常経過をたどる初妊婦とその夫の親準備性の比較を行うこと、さらに質的アプローチから対象の親準備性の特徴を捉えることで、親準備性を高める介入プログラムを創出し、介入によりその効果を検討することを最終目的とした研究である。 既に実施した研究から、ハイリスク初妊婦とその夫の親準備性の特徴として、①親になる意識の中でも「親になる実感・心の準備」に妊婦と夫間の認識に差があり、親になる自覚や親になるイメージが高まりにくい傾向にあり、②対象の親準備性は、妊娠の受け止め、夫婦の協同、胎児存在実感、親になる意識を高めるエッセンス、親になることへの困難、安寧な環境の6つの概念で説明が可能であると言えた。 それを基に「ハイリスク初妊婦とその夫が、正常経過とは異なる想定外の環境に置かれた中でも、夫婦として互いの存在を認め、思いや考えを分かち合い、親になることへの過度ではない適度な不安を持ちつつも、親になるイメージ、意識、自覚を持ち、胎児への愛着を高めながら親になる準備を整えることができる」を最終目標とした夫婦間対話を内容としたプログラムを創出し、1組の対象者に介入し効果を検証した。 夫婦間コミュニケーション尺度、胎児への愛着尺度、親になる意識尺度、親になる自覚尺度、親になるイメージ尺度の5つの評価尺度からその効果は見出されなかった。しかし、親になるイメージ、親になる自覚、親になる意識の認知的側面は、妊娠の受け止め、胎児の存在実感、養育環境の振り返りから描き出される自己親イメージ、具体的な子育てイメージの共有により醸成される可能性が示唆された。またイメージの共有は、妊婦側の胎児への愛着行動を活発にし、夫婦間のコミュニケーションをさらに促進させ、夫の胎児への愛着の高まりが親になるイメージ、親になる自覚、親になる意識のさらなる高まりをもたらすと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.研究者の体調不良により、対象者への介入がままならなくなったため。 2.対象者への介入を再開したが、コロナ対策の必要性から当初の計画の修正が必要となったため。 3.コロナ禍であることを理由に、研究協力者から研究への同意が得られにくくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍であるという環境は不変であるが、研究期間を延長したことで1例でも多くの研究協力者から同意を得て介入し、その効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者が、体調不良により研究を遂行できない状態にあったこと、およびコロナ禍により研究環境が一変してしまったことから、研究計画の変更を余儀なくされ、介入の効果を検証するための対象者数確保のため研究期間の延長が必要となったため。
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