研究課題/領域番号 |
18K10466
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
江藤 望 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90232959)
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研究分担者 |
窄野 昌信 宮崎大学, 農学部, 教授 (70253515)
篠原 久枝 宮崎大学, 教育学部, 教授 (40178885)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | mastitis |
研究実績の概要 |
乳腺炎の発症は、母乳育児を困難にする。発症危険因子として経験的に食事があげられているが、科学的根拠は全く解明されていない。このため、統一したガイドラインが存在せず、母親たちを混乱させている。そこで、乳腺炎発症と食事成分との関係を実験的に解明することを本研究課題の最終的な目標とする。スクロース(或いはフルクトース)を初めとする幾つかの成分は、うっ滞性乳腺炎を重篤化させるが、それは、肝臓の炎症に影響を受けたものなのか、或いは血中の当該物質に起因し、肝臓の炎症からは独立したものなのか不明である。本研究課題では、特にこの点を重点的に解析する。 妊娠が確認された10週齢ddYマウスを2群に振り分け、Normal Diet (ND)、High Fat High Sucrose (HFHS)食を摂食させた。出産後、授乳を17日間させた後、仔マウスの強制離乳によりうっ滞性乳腺炎を誘導した。HE染色、MPOのIHC-P染色、NF-kB p65のリン酸化を指標に炎症の有無を確認したところ、HFHS摂食群で肝臓、乳腺共に炎症を確認できたことから、HFHSは離乳によって発症した乳腺炎を重篤化させる可能性が示唆された。乳腺炎重篤化機構の解析のためにDNA microarray解析を行ったところ、肝臓では脂質代謝や輸送に関連する遺伝子群、乳腺では炎症、アポトーシスに加え、脂質の受容や輸送に関連する遺伝子群が亢進していた。また、乳腺組織中のTotal CholesterolがHFHS群で有意に上昇していた。こうしたことから、HFHSの摂食による乳腺炎重篤化の一つの要因として、肝臓より放出されたLDLの影響が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に予定した実験自体はおおむね実施出来た。しかし、タンパク性の炎症性因子を想定して研究を実施していたが、コレステロールが注目される結果となったので、次年度に慎重に追試験を実施する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度のin vivo実験の追試を行い、更にLDL等のコレステロールに焦点を絞って血中濃度を測定する。次いで、肝臓に炎症を起こさせないようにND食摂食時に、アルゼット浸透圧ポンプを用いて炎症性因子をマウスの血中に注入し、乳腺における炎症を評価する。 In vitro実験は、前年度の結果を受けて当初の予定を変更し、主要な食品成分を糖質から脂質に変更する。そのため、HC11脂質除去処理血清を用いた培養方法を確立した上で、コレステロール含有培地を用いてHC11細胞の遺伝子変化を評価する。
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