研究課題/領域番号 |
18K10470
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
横山 浩之 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40271952)
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研究分担者 |
小林 淳子 山形大学, 医学部, 教授 (30250806)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60333910)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 切れ目のない支援 / 乳幼児健診 / 就学時健診 / ペアレントトレーニング技法 / メディア |
研究実績の概要 |
子どもの行動異常には、本人側要因(発達障害など)と環境要因(生活習慣の乱れ、メディアコントロール)とに大別される。 研究協力市町村のA市では、環境要因による行動異常の増加を示唆する地域診断があり、平成28年度より、4か月~1歳半健診のときに、中川信子氏監修によるDVD「ことばをはぐくむ語りかけ育児」を保護者に視聴させ、身体を使った遊びや子どもの気持ちを受け取って保護者が行動することの大切さを指導した。この結果、メディア利用率は減少に転じた。また、平成30年度に数ヶ月の発達の遅れも見逃さないチェックシート(仮称:切れ目のない支援シート)を作成し、令和元年度に試行したところ、小児保健部局と幼稚園、保育園、教育委員会の共通理解に向けた連携に役立つことがわかり、本格実施に向けたシステム作り令和2年度に行い、令和3年度から本格実施の予定である。 B町ではペアレントトレーニング技法のパンフレットを試みに使用したが、保護者の反響は芳しくなかった。令和2年度に再度、地域診断を行い、対策を検討する。 今年度から新たに協力市町村となったC市では、A市以上に環境要因による行動異常が認められ、メディアコントロールに向けた取り組みを、A市と同様に行い、さらに幼児教育に関わる施設全体での共通理解を図るためのパンフレットを作成した。 今年度から新たな協力市町村となったD町では、ペアレントトレーニング技法のパンフレットによる介入を令和元年度に開始した。介入の効果判定は2年後である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子どもの行動異常には、本人側要因(発達障害など)と環境要因(生活習慣の乱れ、メディアコントロール)とに大別される。例えば、メディアの利用時間が2時間を超えると行動異常の頻度が高まる。 A市では、2時間超のメディア利用をする幼児の割合が増加し、子どもの行動異常を増加させる要因であった。平成28年度から4か月~1歳半健診のときに、保護者に中川信子氏監修によるDVD「ことばをはぐくむ語りかけ育児」を保護者に視聴させ、指導したところ、2時間以上のメディア利用率は、平成29年度39.8%、平成30年度は20.1%、令和元年度21.9%と減少傾向にある。 数ヶ月の発達の遅れも見逃さないチェックシート(仮称:切れ目のない支援シート)を作成し、令和元年度に、市立の保育園・幼稚園で試行した。小児保健部局と幼稚園、保育園、教育委員会の共通理解に向けた連携に有用であった。 「早寝・早起き・朝ごはん」に問題を抱えているB町で、D町で利用しているペアレントトレーニング技法のパンフレットを試みに使用したが、保護者の反響は芳しくなかった。 今年度から新たに協力市町村となったC市では、1歳半健診にて「呼名に反応しない、共同注意が不十分、指さしをしない」子どもが50%程度であった。健診会場でも保護者がスマホに夢中で、子どもの働きかけに反応しないことがよく認められ、メディアコントロールの問題と推測された。A市で有用であった手法を開始した。また、メディアの問題に対して、小児保健に関わる者のみならず、幼児教育に関わる施設全体での共通理解を図るためのパンフレットを作成した。 今年度から新たな協力市町村となったD町では、ペアレントトレーニング技法のパンフレットによる介入を令和元年度に開始した。介入の効果判定は2年後である。
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今後の研究の推進方策 |
A市においては、これまでの取り組みを継続する事に加え、新たなふたつの検討を開始する。ひとつは「切れ目のない支援シート」を就学に向けて全市的に採用する仕組みの構築を検討する。令和3年度には、本格実施を予定している。もうひとつは、乳幼児健診の場で、ペアレントトレーニング技法のパンフレットを配布・指導し、子育て支援への有効性を確認する検討である。ペアレントトレーニング技法のパンフレットは平成29-30年度に作成済みであったが、臨床例でもメディアの問題を抱えた子どもには無効であるため、乳幼児健診での利用・検討を延期していた。 B町においては、ペアレントトレーニング技法のパンフレットが不評であったことから、環境要因による何らかの問題が存在することが疑われる。令和2年度のうちに、再度地域診断を行い、介入方法を検討する。 C市においては、A市と同様の取り組みに加えて、メディアコントロールに関する取り組みを検討する。メディアコントロールにむけて「身体を使った遊び」がいかに大切かというパンフレットを作成したので、この介入がどのような効果を得るかを、今後検討する。 D町においては、令和元年度に開始した介入を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種パンフレットの作成に時間を要したために、現時点で印刷費用が利用されていないため。 また、研究結果の発表(講演、著書)に関わる計画が、出版社などの事情で遅れており、そのための支出を行っていないため。
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