研究課題/領域番号 |
18K10470
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
横山 浩之 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40271952)
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研究分担者 |
小林 淳子 山形大学, 医学部, 教授 (30250806)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (60333910)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メディア曝露 / 睡眠 / 不登校 / 切れ目のない支援 / 教育委員会 |
研究実績の概要 |
コロナウィルス感染症による影響で、全国的に不登校などの問題が増えることがとりざたされているが、研究協力市町村での様相は大分異なっていた。 ① すでにさまざまな施策がとられてきたA市・B町では、3歳半健診における就寝時刻が遅れる傾向があった(統計学的有意差なし)のみで、メディア曝露時間は増加しなかった。また、小中学校の不登校も増加しなかった。 ② 施策を取り始めたばかりのC市・D市・E市・F町・G町では、3歳半健診における就寝時刻が有意に悪化した。2時間を超えるメディア曝露している3歳児が有意に増加しており、C市では、妊産婦と母親に対して、本研究で作成した啓発パンフレットを母子手帳配布時、妊産婦健診、出産時、乳児健診等で繰り返し配布し、1歳半健診における要フォローアップ率で評価する研究を開始した。これらの市町村では、小中学校の不登校率も悪化の一途をたどっていた。 ③ 教育委員会が本事業に参加するD市では、先進地域のA市・B町を視察していただき、D市の事業展開にあたり、どのような観点が切れ目のない支援にとって大切かを検討し、令和4年度からの事業展開に活かすこととなった。 この視察で明確になったのは、市町村差よりも県域の差による制度面の異なりが大きいことで、D市では令和4年度に文部科学省の特別支援教育調査官経験者による研修会を本研究の協賛で行うことになった。 ④ 昨々年度に作成した簡易版ペアレントトレーニング手法のパンフレットをA市・H町において1歳6か月健診において配布し、3歳半健診において、手法の有効性を検討する試みを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナウィルス感染症という逆境は、本研究の有用性を確認させる結果になったため。 本研究によってすでにさまざまな施策がとられてきたA市・B町では、睡眠衛生、メディア曝露、不登校などの小児保健上重要なポイントが全国的傾向とはっきり異なり悪化しなかったことが判明した。 一方、本研究による施策を始めたばかりの市町村では、全国的な傾向と同様の結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
① 昨年度開始した簡易版ペアレントトレーニング手法を1歳半健診で行うことによる子どもの行動異常の予防が可能であったかどうかの検討を継続する。 ② 教育委員会が主体となって“切れ目のない支援”を行うD市において、文部科学省の特別支援教育調査官経験者による研修会を行い、“切れ目のない支援”に必要なパンフレット等の作成を行う。 ③ 協力市町村において、睡眠衛生、メディア曝露、不登校などの小児保健上重要なポイントがどのように変化するかを引き続き検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
福島県立医科大学により、科学技術研究費の失行差し止めが2020年1月から2021年3月に及んでおり、研究を施行できなかったため。
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