研究課題/領域番号 |
18K10471
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
長谷 美智子 武蔵野大学, 看護学部, 講師 (10803124)
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研究分担者 |
小泉 麗 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (50385564)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 訪問看護 / 健康管理 / 重症心身障害児 / 母親 / 看護師 / レスパイト / 体調管理 |
研究実績の概要 |
本研究は在宅生活を支える重症心身障害児の母親の体調を悪化または改善させる要因や構造を明らかにする研究である。令和元年度は、母親の実際の体調の状況と社会的サポートや訪問看護師の支援の内容を明らかにするために「留守番看護」や「レスパイトサービス」が比較的利用しやすい地域に居住している重症心身障害児を支える母親7名父親1名(以下、母親)と、その家庭を担当している看護師7名にインタビューを実施した。 1.母親の語りから 【母親自身が年齢を重ねる】、【子どもの成長とともに体格の変化】をベースにしながら、【体調を崩さないよう日々の取り組み】を行うことで、大きな病気を患わず生活することができていた。しかし、【体調悪化契機】が生じると自身の体調を崩すことがあった。【体調悪化契機】は、子どもの発作のケアで寝不足が生じ身体的な負荷が生じたり、子どもの体調が崩れ始めたころに受診のタイミングをはかるなど、精神的な負荷が掛かったときもあった。【体調改善因子】では、2-3か月に一度ショートステイに行ける、のようにケアを代替してもらえる期間があることで、体調が改善したと実感できていた。母親自身が自分の体調に気づけるよう【バロメーター】を持っていたり、体調に関する記録を付け始めながら管理していることもあった。 2.看護師の語りから 【母親の年齢からくる体の変化】を理解しながら、急に状態が悪くなりやすいなどの【子ども側の要因】や【家族それぞれの状況】の情報を広く収集し、訪問時の母親の精神面、身体面をとらえていた。母親の体調管理には、訪問看護も有効だが【マンパワー不足】で希望通りの回数訪問できないこと、ショートステイなど【子どもを預けられる場所が不足】しており、確保が不安定・不定期なことから、母親の体調管理やきょうだい児の用事などのニーズには応えきれていないことを感じていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
在宅生活を支える重症心身障害児の母親の体調を悪化または改善させる要因や構造を明らかにするため、次のステップでは質問紙の開発を行っていく。そのため、最初のステップである本段階でのインタビューの調査はできるだけいろいろな条件を考えて広く調査していくことが望ましい。その際、インタビュー後の丁寧な分析を行い、その結果をもとに、次のインタビュー地域を検討していく必要があり、そのプロセスに時間を要した。また、重症心身障害児は気象の変動などにより体調を崩しやすく、快復に時間がかかる。子どもの体調が快復しても、快復に向けて努力していた親が体調を崩すことも多い。令和元年度は自然災害や気象変動が多く、インタビューの実施や日程の調整が難しかった。 令和元年度は「レスパイトケア」や「留守番看護」など、母親が重症心身障害児のケアを他者に任せ、一時的に離れられるサービスが比較的利用できる地域に居住する重症心身障害児の母親8名と担当する看護師7名にインタビュー調査できたが、質問紙の作成までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は在宅生活を支える重症心身障害児の母親の体調を悪化または改善させる要因や構造を明らかにする研究である。今後は平成30年度・令和元年度のデータをもとにし、次のステップである質問紙の作成につなげていく。 令和2年度は本研究の最終年度であるが、質問紙調査を依頼する予定施設が病院も含まれること、質問紙配布対象者がレスパイトを利用している家族であることから、予定通りの実施が難しいことが予想される。研究期間の延長も視野に入れざるを得ない可能性があるが、質問紙配布方法なども検討しながら研究目的が達成できるよう努めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙の作成まで至れなかったため、その費用が繰り越しとなった。次年度に実施・使用予定である。
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