本研究の目的は、妊婦の身体活動を促進する看護介入プログラムの開発に向けて、(1) 妊婦の身体活動への思いと行動の現状把握 (2) 評価指標(妊婦の身体活動自己調整力尺度)の開発、(3) 妊娠経過に伴う評価指標の経時的変化の把握、をすることである。 (1) 妊娠20~36週の妊婦を対象に半構成的面接を実施し、就労妊婦に焦点を当て、身体活動に対する思いと行動を分析した。思いと行動は【妊娠前と変えない】【就労状況を考慮し身体活動を調整する】【妊娠経過や体調を優先し身体活動を調整する】、【身体活動低下や過剰体重増加を問題視し身体活動を増加する】【母子への利益を期待・実感し身体活動を増加する】【周囲のサポートを受けて身体活動を調整する】の6カテゴリーが抽出された。 (2) 先行研究や専門家からの意見をふまえ、妊婦の身体活動自己調整力尺度原案を作成した。内容妥当性・表面妥当性を検討し項目を精選した後、本調査(横断的質問紙調査)を実施し探索的因子分析、信頼性・妥当性を検討し、最終的に5因子25項目の尺度となった。 (3) 開発した妊婦の身体活動自己調整力尺度を用い、妊娠期に計4回、縦断的に質問紙調査を実施した。分析対象者は全4回回答した妊婦34名で、初産婦25名、不妊治療経験者10名であった。尺度合計得点の平均は、1回目66.94±13.60、2回目71.62±14.32、3回目75.44±14.77、4回目79.53±14.56であり、妊娠週数が進むにつれて平均値は高くなった。反復測定一元配置分散分析の結果、時間の主効果に有意差がみられ、Bonferroni 多重比較法を行った結果、1回目と3・4回目、2回目と4回目に有意差がみられた。妊娠経過に伴う身体活動自己調整力の変化パターンや特徴をふまえ、妊婦の実情に沿った看護介入プログラムの開発につなげていく。
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