研究課題/領域番号 |
18K10478
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
松澤 明美 茨城キリスト教大学, 看護学部, 准教授 (20382822)
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研究分担者 |
鳥本 靖子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (90566241)
眞崎 由香 (岩永由香) 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (30633185)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療ニーズのある子ども / 医療的ケア / 母親 / 父親 / 子育て観 / 家族 / サービス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、在宅で生活している医療ニーズのある子どもの母親および父親、それぞれの子育て観を明らかにし、それらを踏まえたこれらの子どもと家族へのケア・サービスモデルを開発することである。2019年度は、本調査の実施に向けて下記の3点を遂行した。 1.医療ニーズのある子どもの母親の子育て観を考えるうえで基盤となる、健康な子どもを含めた子どもを育てる母親の子育て観に関する国内外の文献検討を進めた。このプロセスのなかで、文化的要因を強く含む子育て観の特徴を踏まえる必要があると考え、日本人の母親の子育て観に焦点をあてて母親の子育て観に関する研究を整理した。その結果、日本人の母親の子育て観と、育児行動や態度、心理状態、ソーシャルサポートの関連を示す研究が報告されていることを明らかにした。また研究手法として、母親の子育て観の定義は一致しておらず、測定ツールも確立できていないことを明らかにした。さらに、慢性疾患や障がいのある子どもの母親の子育て観の研究は2論文のみであり、これらの母親の子育て観が未解明であることを明らかにした。 2.医療ニーズのある子どもの父親の子育て観に関しては、父親の子育て観に関する研究自体が国内でほぼないことを確認し、障がいのある子どもの父親を対象とした国内文献の検討を進めた。その結果、障がいのある子どもの父親は、子どもの障がいを理解し、障がいのある子どもなりの育ちを望んでおり、信頼できる支援を必要としていること、子育ての負担を抱える母親をサポートしながら、協働して子育てしたいと考えていることが明らかになった。またこれらの父親は、父親としての責任を感じ、家族の生活を守り、仕事と子育てのバランスをとりたいと考えていることを明らかにした。 3.医療ニーズのある子どもを育てる母親、父親それぞれの子育て観を測定するツールであるQステートメント案を検討および精査することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況については、下記の理由からおおむね順調に進展していると判断した。 本研究計画の2年目にあたる2019年度は、本調査の実施に向けて、在宅で生活している医療ニーズのある子どもを育てる母親、父親、それぞれの子育て観に関する国内外の先行研究をレビューし、成果をまとめることができた。またこれらの成果については、国内外の看護系学会において公表することができた。 本研究計画のうち、主たる調査はQ方法論を用いた医療ニーズのある子どもの親の子育て観の測定であるため、本手法による調査実施にあたり、データ収集に用いるQステートメントの作成は必須であり、かつ研究成果の質に大きく寄与する。それゆえに、2019年度においても前年度に引き続き、医療ニーズのある子どもを育てる母親、父親の子育て観の測定ツールとなるQステートメントの作成に向けて、文献検討を継続しながら、これらを精査する段階まで進めることができた。またデータ収集に向けて、具体的な調査フィールドについても検討を開始しており、本調査への準備が整いつつある状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策として、2020年度は下記の点を推進していく。 1.医療ニーズのある子どもの母親の子育て観については、データ収集の基礎となるQステートメントの精査を行い、本調査への準備をさらに推進する。 2.医療ニーズのある子どもの父親の子育て観については、これまで進めてきた文献検討に基づき、まずデータ収集の基礎となるQステートメント案を作成する。そのうえで、これらの父親を対象とした予備的調査を実施する。 3.在宅で生活している医療ニーズのある子どもの母親、父親、それぞれの子育て観の測定に向けて、本研究が対象とする医療ニーズのある子どもが通園・通学している施設等を通じて、協力可能な研究対象者を募っていく。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、本研究対象者においても平時とはいえない状況が継続している。そのため、調査方法については、調査の時期・タイミングを考慮する、もしくはデータ収集方法を工夫するなど、研究対象者の状況を踏まえて検討していく。 4.医療ニーズのある子どもの父親の子育て観、子どもを育てる日本人母親の子育て観に関するこれまでの文献検討の成果については、レビュー論文として論文化し、公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画どおり支出している。2020年度は調査によるデータ収集や成果公表等を予定しているため、調査および成果公表にかかわる費用に使用していく予定である
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