研究課題/領域番号 |
18K10480
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研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
中田 かおり 天使大学, その他の研究科, 教授 (70469980)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妊娠 / 高血圧 / 体水分 / 正期産期 / 日常生活行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、明らかな病理的経過を伴わない正期産期の血圧上昇の予防につながる、妊娠後期の母体の体水分や循環動態に影響を及ぼす臨床指標を探索することである。本年度は、これまでに得た知見の整理・統合を行いながら、大規模質問紙調査に向けた質問項目の精選を目的とした観察研究を計画した。 妊娠高血圧腎症(preeclampsia: PE)の最近の知見では、妊娠34週未満に発症する「早発型」と妊娠34週以降に発症する「遅発型」で、臨床像や病理的経過が異なることが分かっている。予後が悪く、明らかな病理的経過をたどる「早発型」に比べ、病態が不明である「遅発型」では、スクリーニング検査や予防的治療などの具体的な管理方法は示されていない。病理的所見のない中等度の血圧異常には、循環動態の生理的アンバランスを補正する個別の対応が必要、との記述がある(de Haas et al., 2022)。 そこで本年度は、病態が不明である「遅発型」の血圧上昇に着目し、妊娠期の血圧、とくに心拍出量と血管抵抗のバランスに関連のある日常生活行動と妊娠34週以降の血圧との関連を分析するための研究計画書を作成した。血圧に関連のある日常生活行動に関する情報は、構造化面接法により収集する。対象の基礎情報、生理学的検査値、妊娠経過中の異常・マイナートラブル、分娩時妊娠週数および分娩時診断の情報は、診療録より収集する。その後、面接により得られた日常生活行動と妊娠後期の血圧との関連を分析する。 「遅発型」のPEでは、何らかのストレスによって胎児胎盤循環系の異常が起こっていると考えられており、そのストレスに対するケアが予防につながるのではないか、とも考えられている(妊娠高血圧症候群の診療指針2021)。本研究は、そのような対応の一つとして、日常生活の中でできる工夫やケアの中に科学的根拠とその効果を見出そうとするものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、大規模質問紙調査に向けた質問項目の精選を目的とした観察研究の研究計画書を作成し、倫理審査の承認を得た。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響による本務の業務調整・執行に関する過大な負荷により、研究環境の調整が困難であった。また、周産期医療施設での調査受け入れの調整が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
各施設での感染予防対応の状況を考慮しながら、研究協力施設を確保する。研究計画は、新型コロナウイルス感染を含めた臨床の状況に十分配慮しながら、必要な修正を行う。質問項目の確定ができたところで、質問紙調査の研究計画書を完成し、データ収集を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、施設でのデータ収集を開始できなかった。そのため、データ収集に伴う謝金・謝品費、研究補助者への人件費・謝金、データ管理のための物品費、研究方法を具体化するための外部専門家やアドバイザー等との交流・会議のための会議費、旅費が未使用となった。 次年度は、データ収集にかかる研究補助者への人件費、研究参加者・協力施設への謝品費用、パイロットスタディの分析、研究計画の調整・打ち合わせにかかる会議費、旅費の支出が見込まれるため、約200万円の研究費を使用する見込みである。データ収集にかかる人件費・謝金として約150万円、研究協力者への謝品約20万円、データ収集・管理のための器材購入費として約5万円、国内外の研究者へのコンサルテーションや研究者との意見交換のための学会等参加費用として約20万円、その他会議費・消耗品等については、新型コロナウイルス感染予防対策にかかる物品購入や環境調整を含め、約5万円の使用を予定している。
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