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2020 年度 実施状況報告書

人工死産を決断した両親に対する支援の充実:体験者の声にもとづくリソースの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K10487
研究機関聖路加国際大学

研究代表者

岡田 明子 (蛭田明子)  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (80584440)

研究分担者 太田 尚子  静岡県立大学, 看護学部, 教授 (50285053)
堀内 成子  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70157056)
片岡 弥恵子  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70297068)
鶴若 麻理  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (90386665)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード人工死産 / 妊娠の中断 / 胎児異常 / 周産期喪失 / ペリネイタル・ロス / 体験者
研究実績の概要

2020年度は、人工死産により子どもを亡くした当事者を対象に調査を行った。調査方法は、Webによる質問紙とインタビューであり、目的は、当事者が医療者に求める支援を明らかにすることであった。質問紙、インタビュー共に、現在分析中である。
Webの質問紙調査は、73名より研究参加に同意を得た。心理的負担を考え、答えたくない質問は回答をスキップしてもらうことを前提に質問紙を作成しており、回答率は質問により異なる。しかし、選択回答式の質問は概ね80%以上の回答率であった。研究参加者の内訳は、母親70名、父親3名である。人工死産の理由は、胎児診断が最も多く48名(66%)、次いで前期破水や妊娠高血圧症候群など、妊娠経過の異常に伴う人工死産16名(22%)であった。また、胎児診断48名のうち、染色体異常の診断が29名(60%)、その他の胎児異常が19名(40%)であった。支援の満足度について、妊娠中から産後の健診まで時間の経過に沿って、0~100のVAS評価で問うたところ、人工死産の決断から入院に至るまでの妊娠中の支援(VAS平均53)、産後の健診での支援(VAS平均56)は満足度が低かった。特に胎児の異常による人工死産の場合では、検査・診断から出産までの支援に継続性がなく、十分な情報提供や話し合いの時間がなかったとする回答が半数を占めた。産後健診についても、産後の身体の回復に関する診察以外、医療者からの支援の提供が全くなかったという回答が半数を占めた。総じて、妊娠中も産後も、誰にも相談できない、誰にも話を聞いてもらえないという孤独や不安に対して、話を聴いてくれる支援を求める声が多かった。
インタビューは11名に実施した。インタビューにより、その支援が当事者にとってなぜ必要で、どのような意味をもつのか、個別性を踏まえた支援の成り立ちを捉えることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度のはじめには調査を実施する予定であったが、COVID-19の感染拡大に人々の不安が高まる中で、どのように研究を進めることができるのか、迷いがあった。特に医療従事者に研究への参加を依頼することはためらわれた。そのため、調査を開始したのが2020年度の後半となり、本来は人工死産の当事者と看護者双方にインタビューを検討していたが、看護者に対してはアプローチができないままとなっている。
しかし、看護者へのインタビューも実施に向けて準備は進めており、2021年度にはインタビューとワークショップの開催を終了させる予定である。

今後の研究の推進方策

2020年度の調査結果をもとに、医療者に向けた支援のガイドブックの土台(α版)を作成する。このα版を活用し、看護者を対象としたワークショップを行い、内容や支援の実現に向けてディスカッションを行う。また、ワークショップ参加者の中から、インタビュー参加者を募集する。ワークショップ開催は、社会情勢的を鑑みて、秋頃、対面での集合型がよいのではないかと考えている。ただし、COVID-19の状況により、開催の仕方は必要時検討する。
ワークショップ、及び看護者のインタビューの結果を踏まえて、看護者が人工死産の支援の改善をどのように実装していけるかを考察し、1月頃を目処に実践的な支援のガイドブック(β版)を作成する。その後、2月中に専門家によるフィードバックを受けて修正を行う。

次年度使用額が生じた理由

アメリカで開催のPLIDA(Pregnancy Loss & Infant Death Alliance)に参加、及びインドネシアで開催のICM(International Confederation of Midwives)でポスター発表の予定であったが、COVID-19の影響で開催が中止となった。また、研究の実施を一時見合わせていたためにアルバイト雇用をしなかったため、人件費も発生しなかった。さらに、ワークショックの開催に至らず、2020年度に予定していた額を使用できなかった。
2021年度はワークショップの開催やインタビューの実施に40万程度、ガイドブックの製本に30万程度、人件費に15万程度、さらに論文の校閲や投稿に40万程度、その他の支出を見込んでいる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 出産の前後に子どもを亡くした両親と共に活動を続けて 体験者と専門職者の協働から育まれる活動2020

    • 著者名/発表者名
      蛭田明子
    • 雑誌名

      小児看護

      巻: 43 ページ: 1094-1100

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公開日: 2021-12-27  

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