本研究は、重症心身障害児(以下、重症児)の自律神経機能の発達過程とその影響因子を定量的・縦断的に解明し、必要な看護援助を明らかにしようというものである。最終的に4~11歳の重症児6名、3~7歳の定型発達児8名の研究協力を得ることができ、ActiHR5による3日間の心拍変動の測定を実施した。研究開始当初は対象児全員の継続的な3回の測定を目指したが、新型コロナウィルス感染症拡大による研究活動の制限により、測定回数は重症児1回3名、2回1名、3回2名、定型発達児1回2名、2回1名、3回5名となった。分析の結果、重症児の交感神経活動は一日を通して、定型発達児より有意に亢進が認められることが示唆された。また、定型発達児では日中覚醒時より夜間睡眠時に交感神経活動が減衰するという日内変動を明確に認めたのに対し、重症児では睡眠覚醒時間に依存した変動が観察されなかった。周産期の器質的な脳障害に伴う自律神経系の制御異常が早期から既に顕在化している可能性が示唆された。
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