研究課題/領域番号 |
18K10498
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
藤井 智子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20374796)
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研究分担者 |
塩川 幸子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80723379)
横山 純一 北海学園大学, 法学部, 教授 (30191521) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域ケア会議 / 自治体職員 / 医師 / 認識の変化 / アクションリサーチ / 地域診断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アクションリサーチによる自治体職員の認識の変化を生み出す地域ケア会議の開発である。2020年度は 1) 2018年に実施したアンケート調査の報告書を作成し、地域ケア会議の課題について北海道内の全地域包括支援センターに問題提起をした。2) 2019年度に実施した地域ケア会議への2回の介入の分析と自治体職員の認識の変化をみる半構造面接を実施した。自治体職員と専門職が協力し医療依存度の高い事例の看取りを達成できたことが自信になっていたが、個別課題の解決にとどまり地域の課題に広げる意識までは醸成されていなかった。事例支援を終えての振り返りと専門職と自治体職員の役割期待を共有する地域ケア会議の企画を提案した。3) フィールドを1か所拡大し、地域ケア会議のヒアリングと課題のフィードバックを行った。新たな問題点として、行政による住民のニーズの分析と地域診断がされていないこと、地域の課題を福祉的な生活課題として捉え、安心の条件に医療の問題を取りあげていないこと、さらに自治体の職員間で会議の目的が共有されず連携が手薄であることがあげられた。これまでのベースラインの課題と同様、医師、訪問看護師の参加が無いこと、地域診断がされていないことに起因する地域ケア会議の戦略の無さが明らかになった。アクションとして地域のSWOT分析をフィードバックし、自治体職員からは課題の整理がされたと反応がみられた。4)フィールドを管轄する保健所主催の広域的な会議の参加観察を行い、複数の自治体が実態を共有し比較することでわが町の課題の気づきを得ていくプロセスから会議企画の戦略について新たな知見を得た。 これらから、地域診断は地域ケア会議企画の要になること、地域をよく知る自治体職員の課題意識や役割への責任感を刺激し遠慮がちである医師との協働にむけた原動力となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画よりアクションの回数が少なくやや遅れている。 2020年度はフィールドを拡大し、介入の回数を増やす予定でいたが、コロナ禍のため地域ケア会議への介入ができず、ヒアリングによる課題の整理とフィードバックにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
地域ケア会議への参加観察は難しいため、研究協力者である自治体職員と協議しながら地域ケア会議の企画に焦点をあて、アクションとする。 1)フィールドの地域をカバーしている医療従事者の地域ケア会議に対する認識をインタビューで明らかにする。医療従事者を会議の参集範囲にしていくための課題の整理、体制づくりを自治体職員とともに行う。 2)フィールド市町村管内を管轄する保健所と連携し、管内市町村の地域ケア会議に関する課題や方策を検討・学習する場として研修会を企画する。 3)地域ケア会議の方策に向けた提言書を作成する。今後は地域ケア会議のための簡便な地域診断の枠組みの開発も必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
1) 次年度使用額が生じた理由は、現在までの研究全体の進捗状況が遅れていること、新型コロナウィルス感染拡大防止のため対面での地域ケア会議が開催されない状況であり、フィールドへ介入する回数が少なく旅費が使われなかったことにある。 2) 使用計画として、アクションが本格化する2021年度においては、介入、分析のための打ち合わせ、学会発表などの旅費が増額することが予測される。さらに、地域ケア会議の方策に向けての提言書の印刷費として研究費を使用していく予定である。
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