研究課題/領域番号 |
18K10501
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
京田 薫 金沢大学, 保健学系, 助教 (00639776)
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研究分担者 |
板谷 智也 金沢大学, 保健学系, 助教 (10765192)
塚崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (20240236)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 地域共生 |
研究実績の概要 |
グループホーム利用者に対する自立支援、パートナーシップ、社会支援、地域貢献、認知症の地域共生を明らかにすることを目的とした。グループホーム総数12,802か所から500か所を地域別層化無作為抽出し、グループホーム管理者に対して郵送にて調査を2018年9月から12月まで行った。自立支援、パートナーシップ、社会支援、地域貢献、認知症の地域共生を調査した。 143か所から回答を得た(回収率28.6%)。分析は、認知症の地域共生等が未記入だった5か所を除く138か所(有効回答率96.5%)を対象とした。回答者は女性90人(65.2%)、平均年齢は49.3歳、介護福祉士76人(55.1%)平均経験年数は13.9年だった。自立支援は、138か所の全施設は、内服行動等を支援していた。一方、帰宅支援98か所(71.1%)と3割が未実施だった。パートナーシップは、全施設は利用者と職員の信頼関係づくりをしていた。社会支援は、132か所(95.7%)の施設は運動の機会の提供をしていた。一方、購買の支援93か所(67.4%)だった。108か所(78.2%)の施設は、利用者の地縁的な活動支援をしていた。地域貢献は、128か所(92.7%)施設は、運営推進会議での意見を基に地域貢献を実施していた。一方、地域の認知症疑いの者への見守り55か所(39.8%)と半数以下だった。 認知症の地域共生は、135か所(97.8%)の施設は、認知症人も地域役割をもつと回答しており、共生する意向が高かった。一方、54か所(39.1%)の施設は、認知症者は、判断が困難であっても、他者が生活を決める必要があると回答し、約4割が認知症の理解が十分でない可能性が示唆された。28か所(20.2%)の施設は、悩みやストレス時に、誰かに助けを求めることは恥ずかしいと思うとし、認知症の受援力が十分でない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に研究計画書を作成し倫理審査委員会の承認を受け、その後の研究進捗状況がおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2018年度に、1段階として、質問紙による全国調査を行った。全国のグループホームから500箇所を無作為抽出し、各グループホームの管理者を対象者した。2段階としてインタビューと参加観察の準備をしている。1段階の調査結果を参考にしながら数箇所のグループホームに対してインタビューと参加観察を行う。利用者の認知機能に沿った自立支援及び地域交流を通して相互に支え合っている活動の実態を質的分析する。インタビューの対象は管理者とし、グループホーム内の生活の様子を参加観察する。1段階の調査結果をもとにして、数箇所のグループホームの管理者1名ずつを対象とし、インタビューを行う。インタビューはインタビューフォームに沿って行い、グループホームの基本理念、基本理念に基づいた活動、利用者の自立状況、家族・医療福祉機関・行政・住民との相互支援に対する認識、地域における認知症に関する課題についてインタビューする。参加観察は、研究者が管理者と共に、グループホーム内に滞在し、グループホーム内の様子を観察する。観察項目は、ホームの理念に基づいた生活の実際、利用者に対する支援の在り方と利用者の自立状況、地域交流の実際等を観察する。インタビュー時に、議事録を文章化し質的に分析し認知機能に沿った自助・互助の活動の実態と課題を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は1段階調査と2段階調査を計画しました。1段階調査の全国調査の回答期限を9月としました。しかし、一部の地域で夏に自然災害が起きたことにより、郵送後に調査対象施設の変更を行ったことと、回答期限を過ぎた12月まで調査結果の返送が届いたことにより集計等に時間が必要となりました。 そのため、2018年度未使用額及び2019年度の予算で1段階調査の報告書の作成、2段階調査の旅費等も施行予定です。
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