研究課題/領域番号 |
18K10504
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 助教 (30535753)
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研究分担者 |
藤野 裕子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 教授 (00259673) [辞退]
楠葉 洋子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 教授 (90315193)
松浦 江美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (20363426)
中垣内 真樹 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (10312836)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統合失調症 / リカバリー / 身体活動量 |
研究実績の概要 |
本年度(令和元年)は,昨年度に作成した質問紙調査票を用いて,地域で暮らす統合失調症者34名を対象に自己記入式質問紙調査を実施した。男性22名(64.7%),平均年齢48.9±9.9歳,平均睡眠時間は7.5±1.7時間であった。過去に運動をしていた人は17名(50.0%),発症年齢25.4±5.9歳,薬の副作用がある人12名(35.3%)であった。身体活動量は,IPAQプロトコールに従い,1週間あたりの生活場面(仕事,移動,家庭,余暇)の歩行,中等度及び強い身体活動をMET強度×時間(min)×頻度(日/週)から身体活動量(METs・分/週)を算出(中央値)した。総身体活動量は1680METs・分/週であった。生活場面別では,移動の総身体活動量が最も多く495METs・分/週,仕事中の総身体活動量179METs・分/週,家庭及び余暇に関する総身体活動量0METs・分/週であった。身体活動の種類別は,歩行に関する総身体活動量957METs・分/週,中等度の総身体活動量675METs・分/週,強い総身体活動量0METs・分/週であった。総身体活動量は,過去に運動をしていた人の方が有意に高かった。生活場面別では,仕事中の総身体活動量は男性が有意に高く,余暇活動の総身体活動量は,過去に運動していた人が有意に高かった。身体活動量には発症年齢や薬の副作用等ではなく,過去の運動やスポーツ経験が日頃の身体活動量や余暇活動にも影響を与えている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,就労継続支援A型・B型事業所,地域活動支援センター,グループホームの対象施設に地域で暮らす統合失調症者の身体活動量の実態と関連要因について検討することができた。本年度は,対象者約50名を目標にアンケート調査の実施を考えていたが,統合失調症に限定していることや対面による聞き取り調査の実施により34名となったことから,現在までの進捗状況を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後も地域で暮らす統合失調症者を対象に,病院デイケア等の対象施設を含めた調査を進めていく予定である。また,アンケート内容に対する疑問点や記入内容については,対面による丁寧な聞き取り調査によって有効回答数の確保に努める。次年度は,既に複数の対象施設から内諾が得られているものの,コロナウイルスの影響により調査実施が遅れる可能性も考えられるが,感染状況に応じて着実にアンケート調査を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】 本年度は,日本スポーツ精神医学会学術集会で研究成果の報告までに至らなかったこと,予定していた対象施設への調査が実施できなかった。そのため,本研究を遂行する上での学会参加費,研究打ち合わせと調査の旅費及び,調査に必要な物品購入が減ったことにより,研究計画書で計上した予定額と実支出額に誤差が生じた。 【次年度の研究費の使用計画】 本研究は,地域で暮らす統合失調症を対象として聞き取りによるアンケート調査を実施する。そのため,調査の打ち合わせ及び調査旅費に加え,調査に必要なPPC用紙,文具等の消耗品等の補充を行う。次年度は,調査によって得られたアンケート結果を分析して学会発表を考えており,学会参加費等も必要となる。
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