研究課題/領域番号 |
18K10507
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
辻 玲子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20644470)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外来看護師 / 高齢者虐待予防 / 予兆察知 / 介護者支援 |
研究実績の概要 |
1.高齢者虐待の予兆を察知した外来看護師インタビュー調査分析:2018年度に高齢者虐待疑い事例に遭遇したことがある外来看護師6人に対して、インタビューガイドを元に看護実践内容や高齢者・家族の反応のインタビュー調査を実施し10事例の聴取ができたが、2019年度はそれを基に分析を行った。1)一事例ごとの分析と比較:高齢者虐待徴候の情報収集をして対応するまでの事例ごとの時間とプロセスを、複線径路等至性モデル(Trajectory and Equifinality Model )を使用し分析した2)全事例の統合:(1)全事例の等至点となるコードを集め、事例の帰結として分類しカテゴリー名をつけた(2)全事例の高齢者虐待の予兆と研究者が判断したコードを集め、高齢者虐待の予兆として分類してカテゴリー名をつけた。さらに予兆の例示ごとに外来看護師の予兆察知内容、予兆察知のポイントを明示した(3)全事例のコードのうち、高齢者虐待に結び付く情報と解釈を集めて予兆のカテゴリーごとに一覧表に整理した(4)予兆察知後に行われた高齢者や家族への支援及び外部へのアプローチと判断したコードを集め、行動項目としてカテゴリー化し一欄表にした。2.予防的看護モデル案作成:「外来看護師が高齢者虐待の予兆を察知し虐待に至らしめない予防的看護モデル」の目的及び目標を文献検討により明文化し、10事例の特徴から「虐待に至らしめなかった」と「経過を注意深く観察する」の帰結となった高齢者虐待の予兆と予兆察知および虐待に至らしめない予防的看護について「看護モデル案」となりえる内容であるかどうかを再検討した。「高齢者虐待に至ってしまった」事例については、各事例のTEM図にもどり、分岐点(高齢者虐待の予兆)から派生する「選択されなかったがあり得た事項」を行うための支援行動を文献から導きだし、虐待を回避する予防的看護の行動項目とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は外来看護師へのインタビュー調査のデータ分析を行い、「外来看護師が高齢者虐待の予兆を察知し介護者援助を行うための予防的看護モデル試案」を作成させ、その内容的妥当性と実行可能性の確認まで行う予定にしていたが、全事例の統合作業が遅れ、それによって「予防的看護モデル」作成も遅れ、納得できるものが作成できておらず検証もできていないため
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本研究の最終年度である為、「外来看護師が高齢者虐待の予兆を察知し介護者援助を行うための予防的看護モデル試案」を作成し、その内容的妥当性と実行可能性の確認をし、予防的看護モデルを完成させて本研究の成果を明文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、当初データ整理のアルバイト使用を予定し、人件費として計上していたが、 研究者自身だけでデータ整理を進めたため、使用しない分が次年度使用額となった。2020年度はデータ整理に人件費・謝金を使用してもっと効率的に研究を進め、さらに本研究のまとめをして、本研究の成果を論文化して投稿していくために予算を使用していく予定である。
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