研究実績の概要 |
外来看護師が高齢者虐待の予兆を察知し,虐待に至らしめない外来看護支援モデルを構築することを本研究の目的とした. まず,外来看護師5名に,高齢者虐待に関連する事例の関わりプロセスをインタビューし,10事例の実践例を複線径路等至性モデルで整理し,事例の帰結,高齢者虐待の予兆と予兆察知を分析して統合した.次に,研究者及び外来看護の実践者7名による専門家会議を組織し,「外来看護支援モデル案」について,目的・目標及び予兆及び予兆の例示を提示して,モデル案の基本的考え方及び高齢者虐待の予兆の信用可能性についての意見を得た.最後に,高齢者虐待の予兆を修正し,10事例のうち9事例の実践を整理した複線径路等至性モデルを用いて外来看護師の予兆察知後のアプローチを分析し,さらに文献による予兆察知後のアプローチの追加を行って,予兆察知後の支援を作成した.予兆と外来看護支援の関連を分析し,高齢者虐待に至らしめない外来看護支援の構造図を作成した. 外来看護師が察知する高齢者虐待の予兆は,高齢者から察知した【なかなか改善に向かわない身体所見や症状】,【高齢者が介護者に依存する関係性】,介護者から察知した【介護者の介護の意欲低下や脆弱な介護力】,【介護者の精神的余裕を奪う経済的困窮】,【攻撃性が強い傾向の介護者】,【依存し合う様子の家族集団】の6つであった.高齢者虐待に至らしめない外来看護支援は,[通院継続の支援],[高齢者の身体症状改善の支援],[高齢者を擁護するための支援],[介護者の介護力向上の支援],[介護者の健康ニーズへの支援],[家族集団の課題を踏まえた介護体制への支援],[他の機関との連携による支援]の7つであった. 本外来看護支援モデルは,高齢者虐待の予兆を察知し虐待に至らしめない外来看護支援の構造図と高齢者虐待の6つの予兆とその例示,高齢者虐待に至らしめない7つの外来看護支援となった.
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