本研究は、介護予防システムの構成員でありシステムの推進の役割を担う一員である住民の視点から、介護予防システムを評価する指標を開発しようとするものである。 第一段階では、評価指標の項目作成のために、介護予防活動を行っている高齢者のインタビュー調査の結果を質的記述的に分析し、文献検討の結果と比較検討を行い、システムの構造・過程・結果からなる33項目の評価指標原案を作成した。 第2段階では、高齢者、保健師、研究者による専門家調査を行い、CVI算出、質問項目を精選し、29項目の評価指標案を作成した。 第3段階では、A県内4市の介護予防教室等に参加している地域在住高齢者を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。市の担当者の紹介を受けた教室等の代表者に質問紙の配布を依頼し、郵送にて個別に回収し、513(回収率52.5%)の分析を行った。因子分析の結果、【介護予防の必要な人が活動につながる仕組みがある】【地域の介護予防の課題を共有して解決に取り組んでいる】【やりがいを感じながら介護予防に取り組んでいる】【介護予防に必要なヒト・モノ・カネがある】【地域の人々が情報交換して交流できる】の5因子24項目からなる評価指標を開発した。モデルの適合度の評価において適合を確認できた。 介護予防が必要な人が活動につながる仕組みがあり、地域の人々が情報交換して交流できること、課題を共有し解決に取り組みそれらの活動にやりがいを感じ取り組んでいるという視点が、住民が捉える介護予防システムの評価の構成概念であった。開発した指標は、住民が自ら地域の介護予防システムを評価する際に活用することができ、関係者と共にシステムの推進に向けた活動を意図的に展開する上で、有効な指標と考える。 今年度は、質問紙調査の結果を学会発表し、論文を執筆した。
|