研究課題
本研究の目的は、へき地医療看護職対象の、退院支援に関する教育プログラムを開発することである。2018年度は、退院支援・調整e-learning科目受講生の発言分析から、へき地で勤務する看護職15名がどのような退院支援の課題を抱えているかを分析し、2019年度学会発表を行った。へき地診療所では、退院前から在宅療養支援について病院側と話し合い、適時情報共有できる切れ目ない支援、連携体制構築、地域全体を巻き込んだ在宅療養継続支援が課題であり、これらに対応できる教育内容の充実を図る必要性が示唆された。COVID-19感染拡大が終息せず、延期していた現地面接調査は断念し、2020年度、離島での退院支援(在宅療養移行支援)に取り組む看護職等を対象としたWebインタビュー調査に切り替えた。離島での退院支援(在宅療養移行支援)への関与度が高く、日頃から連携している病院地域連携室勤務ソーシャルワーカー、同病院併設訪問看護ステーション勤務訪問看護師、同病院が所在する町の地域包括支援センター勤務保健師から、離島における退院支援(在宅療養移行支援)について聴取できた意義は大きい。その成果は、2021年度に学会発表、2022年度に論文化した。入所施設等、在宅介護を支えるサービスが乏しい離島では、自宅退院できなければ島では暮らせない。分析を通して、離島での退院支援は在宅療養実現のための支援として機能し、そのために関係者が行っていることが明らかになった。2023年度の課題は、上述した研究成果を活かした1)教育プログラムに必要な学習項目抽出・コンテンツ作成、2)それらの妥当性を検討する専門家会議を開催することであった。1)については着手したものの、コンテンツ作成は未完である。このため、2)を進めることができなかった。