研究課題/領域番号 |
18K10518
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
矢島 正栄 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (40310247)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達障害者 / 保健師 |
研究実績の概要 |
発達障害者及び発達障害が疑われる者(以下、「発達障害者等」という。)の継続支援における市町村保健師の機能を明らかにすることを目指し、発達障害者等に対する市町村保健師の継続支援の実態と地域特性による比較に関する全国調査に向け、文献検討、関係者からの聞き取り等を行い、準備を進めた。調査票の質問項目及び内容を構成するための聞き取り調査を、発達障害児等の支援に従事する1市の保健師2名、および発達障害者支援機関に所属する心理職1名を対象に実施した。その結果、幼児期における発達障害の診断前後、及び発達障害者等の社会環境に変化が生じる就園・保育所入所及び就学に関わる支援環境と市町村保健師の関わりについて、調査対象者所属機関の管轄地域における現状と課題が見いだされ、調査票作成への示唆が得られた。調査票の作成のためには、さらに、進学、就労、妊娠・出産・育児等の局面についての情報収集の追加が必要である。 また、発達障害者等の社会環境変化の局面における、市町村保健師による個別支援のプロセスと支援機能の明確化に向け、就園・保育所入所の局面、及び就学の局面、各2事例について、市町村保健師に対するインタビュー調査を実施し、分析を進めた。その過程で、発達障害児等の養育者と市町村保健師の支援関係構築、複数の関係機関及び支援者間における支援情報、課題認識及び支援方針の共有、継続支援を視野に入れた支援記録のあり方等に関する課題が抽出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、年度内に発達障害者等に対する市町村保健師の継続支援の実態に関する全国調査を実施することを予定していた。調査票の構成要素となる、発達障害者等に社会環境に変化が生じる局面について、文献検討及び関係者からの聞き取りにより概況の把握を試みたところ、就園・保育所入所、就学、進学の局面については状況把握が進んだ。しかし、青年期以降の就労及び社会生活については、市町村保健師および産業保健に従事する看護職からの聞き取りを試みたものの、当該年齢層の発達障害者等の全体像に迫るには至らず、さらに、聞き取りの対象を広げて状況を把握する必要が認められ、調査の実施には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
発達障害者等に対する市町村保健師の継続支援の実態に関する全国調査については、青年期以降の就労及び社会生活に関する概況の把握を行い、早急に調査票を確定して調査を実施する。また、調査票の郵送と併せ、発達障害者等の社会環境変化時の市町村保健師による個別支援のプロセスに関するインタビュー調査、及び発達障害者の継続支援体制に関する現地調査への協力に関する意向を確認し、協力者リストを作成して調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度に実施を予定していた郵送調査を次年度に繰り越したため、これに係る経費が次年度使用額となった。次年度は同調査を実施し、あわせて当初の計画のとおりインタビュー調査を実施するため、次年度使用額と翌年分として請求した助成金を使用する予定である。
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