研究課題/領域番号 |
18K10518
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
矢島 正栄 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (40310247)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 保健師 |
研究実績の概要 |
発達障害者(児)及び発達障害が疑われる者(以下、「発達障害者(児)等」という。)の支援の継続性を保障する市区町村保健師の機能を明らかにすることを目指し、発達障害者(児)等に対する市区町村保健師の継続支援の実態と地域特性による比較に関する全国調査を実施した。全国の市区町村1,741か所の統括保健師等を対象に調査票を郵送し、620件の回答を得た(回答率35.6%)。 発達障害者(児)等の支援には、乳幼児期では母子保健担当部署、学齢期では学校又は教育委員会、青年期・成人期では障害者福祉担当部署を主とする複数部署が当たっている自治体が多く、乳幼児期には担当部署の一つ以上に必ず保健師が配置されているものの、学齢期では28.9%、青年期・成人期では25.8%の自治体でいずれの担当部署にも保健師の配置がされていなかった。自治体内に部署を横断する発達障害者(児)支援の仕組みが確立しているのは62.2%、外部機関との恒常的な連携の仕組みを持つ自治体は57.7%であった。精神科医療機関、発達障害者支援センター、基幹相談支援センター、児童発達支援および放課後等デイサービスは人口規模の大きい自治体で利用が進んでいる傾向が見られた。一方、保健師による発達障害者(児)の個別支援については、人口規模の小さい自治体で積極的な対象者把握の仕組みができている傾向が見られた。発達障害者(児)支援において困難を感じている割合は、「専門支援機関の確保」、「保健活動への協力や助言を受けられる発達支援専門家の確保」、「保健師の支援技術の向上」で高く、人口規模による有意差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、市区町村保健師の発達障害者(児)等継続支援の実態に関する全国調査の調査票の内容の検討に用いる予定であったインタビュー調査が遷延したため、2020年度に予定していた同調査を2021年度に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、市区町村保健師の発達障害者(児)等継続支援の実態に関する全国調査の結果の詳細な分析を行う。また、保健師による発達障害者(児)等の継続支援が積極的・特徴的になされている地域を人口規模別に選定し、現地視察及び関係者の面接により、当該地域における発達障害者等の継続支援に関わる保健師の役割と関係機関との連携の実際、現在の支援体制に至るまでの経緯、継続支援の体制整備及び運用に関わった市区町村保健師の役割等を明らかにする。これらの結果を合わせ、地域特性に応じた支援システム例を構造化し、その構築、運用における市区町村保健師の機能を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実施した全国調査のデータ入力作業委託料435,600円の会計処理が次年度となった。また、当該年度実施予定であった、同調査データの詳細解析、現地調査及び研究の取りまとめを次年度に見送った。 次年度は、入力作業委託料、現地調査旅費、データ整理のための人件費に残額を使用する。
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