最終年度は、2021年度に実施した発達障害者等に対する市町村保健師の継続支援の実態に関する全国調査の分析を進め、人口規模別にみた市区町村の発達障害者(児)支援体制、保健師の関わり、庁内部署間および関係機関との連携、当事者の社会資源等利用状況等の実態が明らかになった。また、特別支援学校専門アドバイザー2名、スクールカウンセラー1名および教員養成に従事する大学教員1名を対象にインタビュー調査を行い、発達障害者(児)等の進学、就職の局面を含む学齢期前後の課題と市区町村保健師との連携の状況を聴取した。 補助事業期間全体を通じて、発達障害者(児)の保育所、幼稚園、認定こども園(以下、「保育所等」という。)の入所・入園前後、および在所・在園中、小学校就学前後および就学期間中における課題を保健、福祉、教育関係者を対象とするインタビュー調査により、各側面から立体的に捉えた。その結果、発達障害者(児)の特性の把握と理解、特性に応じた保育方法、教育方法の判断および技術の習熟、関係者間の方針及び具体的方法の共有、保護者支援等の課題が明らかになった。また、発達障害者(児)支援に共通する課題として、発達段階に応じ、次の局面を見据えた準備と情報伝達に基づく支援の継続の重要性が明らかになった。市区町村保健師の役割として、それらを遂行するための当事者および保護者の力量形成、保健サービスを通して保有している情報や当事者及び保護者との関係性を活用した関係機関との連携・協働、専門的助言・支援者の確保等関係機関への支援、社会資源の調整・開発、関係者及び一般の人々の理解の促進等の必要性が見いだされ、人口規模に基づく特性に応じた支援体制および方策をさらに検討していく必要性が示唆された。
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