研究課題/領域番号 |
18K10523
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
宮崎 紀枝 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 教授 (50349172)
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研究分担者 |
依田 明子 佐久大学, 看護学部, 非常勤 (90588188) [辞退]
小島 美里 新潟県立看護大学, 看護学部, 実習助手 (00842585) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 事業化 / ストラテジー / 開業看護職 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は地域で開業する看護職に特有なコンピテンシー(事業化能力)を明らかにすることである。この目的を3年間で達成するために、次の3つの目標を置いている。目標1:事業化プロセスの特性を明らかにする。目標2:事業化のストラテジーの構造を明らかにする。目標3:地域への波及効果、事業内容の発展の特性を明らかにする。 2019年度は、2018年度に実施した保健医療福祉分野で開業する看護職へのインタビュー調査を分析し、目標2のために質問項目を抽出した。具体的な研究活動は以下の通りである。 1.インタビュー調査の分析の結果と質問項目の抽出:先行研究で得られている知見(行政保健師による事業化のストラテジーの構造)との違いが多く、繰り返し質問項目の整理を行った.特に違いがみられたのは、事業のきっかけ、目標設定、組織づくり、お金に関する事であった。目標3の地域への波及効果についてもデータ収集したため、質的に分析を行った。サービスを提供した対象者への効果だけでなく、地域や地域産業や地域のシステムにも波及効果を与えている事がわかった。2.学会発表:インタビュー調査の結果である目標1事業化プロセスについて、第8回日本公衆衛生看護学会(松山)にて発表し、研究者や実践者から助言をもらった。3.研究計画書の作成:上記分析結果に基づき研究計画書を作成した。データ収集方法の手順、質問調査用紙(属性、ストラテジー項目、波及効果内容等)、研究のお願い(依頼文)等を作成した。4.研究倫理審査の承諾:所属大学研究倫理審査の承諾を得た。対象者への調査を実施することについて開業保健師会の内諾を得ている。今後、プレテスト後、全国に質問調査用紙を配布し調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、「目標2:事業化のストラテジーの構造を明らかにする」ために、質問項目の抽出、量的調査を計画した。質問項目の抽出は、2018年度の研究結果、先行研究(事業化のストラテジーの研究と開業保健師の研究を中心に文献レビューで抽出できた内容)、および研究分担者との会議により精錬した。2018年度の研究結果は、学会にて発表し参加者からの助言をもらった。その後、質問調査用紙、研究計画を策定し、研究倫理審査の承認を得ている。3月にはプレテストと本調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、本調査の実施が滞っている。 一方で、2020年度に調査予定の波及効果の特性については、すでに2018年度にインタビューからデータ収集し分析している。インタビュー調査で明らかになった波及効果を参考に、質問項目に反映させ、質問紙調査でも同時に波及効果についてデータ収集できるように対応している。このため概ね計画通りと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査の本調査実施までの間に、さらに質問項目の精錬をはかるためにプレテストを実施する。また、調査対象者を増やすための情報収集を行い、名簿に追加する。感染症流行の様子をみて本調査の実施が可能な状況となれば、速やかに実施する。その後、研究代表者は共分散構造分析によるモデル化を実施し、開業者による事業化のストラテジーの構造を特定する。研究分担者は波及効果の分析を実施し、2018年度の分析結果と統合する予定である。2020年度の後半は、「事業化プロセスの特性」、「事業化のストラテジーの構造」、「事業化の波及効果の特性」について報告書をまとめる予定である。 今後の学会発表については、質問紙調査結果の分析後、事業化のストラテジーの構造のモデル化の結果、事業化の波及効果を関連学会での発表を予定する。論文発表は、質的調査を行った「事業化のプロセスの論文化」と量的調査の「事業化のストラテジー」について論文化を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に実施予定であった質問紙調査で使用予定ある。すでに、2019年度に研究倫理審査の承認は得ており、調査に必要な経費について見積もっていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で実施を見合わせている。 今後の使用計画としては、主に、プレテストを含めた上記調査の費用として、質問紙調査用紙と依頼文の印刷代、往復の郵送代等を含んだ消耗品代としての経費が必要である。また、入力作業、データ整理、分析等の研究補助のための予算が必要となる。
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