研究課題/領域番号 |
18K10527
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
白井 はる奈 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (90346479)
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研究分担者 |
小川 真寛 京都大学, 医学研究科, 助教 (00732182)
西田 征治 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (90382382)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 活動の質 / Quality of Activities / プラクティスガイド / 認知症 |
研究実績の概要 |
認知症高齢者の活動の質(QOA:Quality of Activities)を高めるためのプラクティスガイドを開発するにあたり、本研究の初年度である2018年度は臨床での活動場面の観察データから、QOAが高まる良い関わりと、低くなる良くない関わりを抽出し、その理由について検討した。 具体的には、2018年9月に、病院や施設で認知症高齢者を対象として勤務している19名の作業療法士を対象に、認知症高齢者の活動の質を観察によって評価するための評価法であるA-QOAの研修会を開催し、研究協力者として、臨床でのA-QOAデータの提供を依頼した。結果、18名の研究協力者からクライエント131名、262場面のデータを得ることができた。データは、クライエントの基礎情報、活動名、認知症の重症度(FAST)、A-QOA素点、QOAを高めた、または低めたと考える要因であり、QOAを高めた、または低めたと考える要因については、各研究協力者に考えて頂き、自由記述で記入してもらった。 自由記述データを作業療法のモデルの一つであるPEOモデル(人・環境・作業モデル)により質的分析したところ、QOAを高めるためには、クライエントの生活歴を把握すること、クライエントの心身機能・活動レベルに合わせた活動を選択し、適応させること、援助者が関わりを密にすること、援助者がクライエントにポジティブフィードバックを行ったり、教えてもらう役割を担うこと、集中しやすい環境設定をすること、不穏状態や傾眠状態の時は無理強いをしないこと、などが明らかになった。 しかし、研究分担者との協議の中で、既存のモデルに当てはめずに質的分析を行うことで見えてくることもあるのではないかと考え、再度、モデルにあてはめずに、質的分析をし直しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定では200場面の活動場面のデータ収集を行うことを目標にしていたが、262場面のデータを得ることが出来、十分なデータ数を確保することができた。 当初の予定では、2018年度にプラクティスガイドの草案を作成することを目標としていたが、質的分析を再度し直していることもあり、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者とは定期的に月に1回は研究ミーティングを行っており、また、メールを用いて適宜ディスカッションを行っている。研究分担者との連携は密に取れているため、今後も引き続きより良い連携を取り、研究を深めていきたい。 現在データ分析をし直している途中である。研究協力者(臨床の作業療法士)がQOAの点数を左右すると考えた自由記述のデータを、KJ法により分析し、文献研究で得られた知見と共に、プラクティスガイド案を作成する。必要に応じて、研究協力者や熟練作業療法士にインタビューを行い、QOAを高めるためのストラテジーについて聴取したいと考えている。 A-QOAに関心のある作業療法士は増えているため、今後研究協力者は増え、データ数も増加し、よりリッチなデータが得られる可能性が高い。プラクティスガイドの草案ができた段階で、アンケートにて各項目に対して同意の程度を聞き、デルファイ法を用いて調査を行い、プラクティスガイドの洗練化を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に購入予定としていた設備備品費(ウェアブルカメラ3台、225000円)を購入しなかった。ウェアブルカメラではなく、研究分担者の所持品であったビデオカメラを使用したため、次年度使用額として持ち越すこととなった。 2019年度使用計画としては、研究打ち合わせ旅費、学会参加費・旅費、アンケート調査謝礼、プラクティスガイド翻訳費、英文構成費として使用する。
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