研究課題/領域番号 |
18K10532
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
塩川 幸子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80723379)
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研究分担者 |
藤井 智子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20374796)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保健師 / 看護過程 / アセスメント / 事例検討会 / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
本研究は、アクションリサーチによる保健師のアセスメント能力向上を導く看護過程の構築を目的とし、2018~2020年度の3年間でアクションリサーチを展開し、事例検討会への介入を通して保健師の看護過程の指導手引書を作成する。 2019年度は研究2年目で、前年度の予備調査であるアンケートとフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)で明らかになった保健師の個別支援の看護過程の実態について、日本公衆衛生看護学会(松山市)で2題の示説発表を行った。なお、研究結果は現場へのフィードバックを行い、事例検討会への介入に活用した。 アンケートは事例検討会参加者50名中45名の回答があった(回収率90.0%)。訪問記録には保健師の看護過程の思考プロセスが反映されることから、記録に書く項目と頻度、難しいこと等を把握した。事実としての情報と支援内容は記述しているが、今後の目標や計画の記述が少なく、評価が手薄であることが明らかになった。FGIは延28名が参加し、分析の結果、保健師の看護過程の難しさとして、情報収集の範囲が幅広く枠組みが曖昧、家族全体を包括的に捉える視点や地域での生活が多様でイメージしにくい、今だけにフォーカスする傾向等が明らかになった。これらをふまえ、家族看護の視点、時間軸を意識して生活を捉えること、一つ一つの情報のアセスメントから包括的なアセスメントにつなげていくことを重点とし、事例検討会への介入を行った。事例検討会は3保健所で計4回開催し、参加者を対象に事例検討の学びについてのFGIを各地域1回実施した。なお、新型コロナウイルス感染症の流行により1回は延期となった。 2020年度は延期となった事例検討会を実施予定。また、事例検討会への介入を通してみえた保健師のアセスメントの視点を記述し、保健師の看護過程の指導手引書を作成する。さらに、研究成果をまとめ、学会発表および論文作成を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度後半に新型コロナウイルス感染症の流行があり、予定していた事例検討会が一部延期となり、事例検討会の介入評価が遅れており、全体としてやや遅れが生じている。 今後、事例検討会の介入評価を行っていくにあたり、研究協力者は遠隔地であるため、電話・メール等も活用して連携を図り、評価結果を保健師の看護過程の指導手引書に反映していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
事例検討会が新型コロナウイルス感染症流行の影響により、一部延期となっているが、現時点では開催時期の調整が困難であり、状況を見ながら開催を検討していく。 当面は、前年度までに介入を行った事例検討会の評価を行う。また、事例検討会におけるアセスメント能力の向上につながる効果的な意見交換について記述し、分析する。さらに、研究協力者である現場の保健師の意見を聴きながら、保健師の看護過程の指導手引書の作成を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算計上していたテープ起こし等の経費および旅費は、事例検討会のアクションリサーチが開催延期となったことから未使用額が生じたが、次年度に繰り越して使用予定である。また、研究フィールドや現場から、今後作成する保健師の看護過程の指導手引書についての送付要望が多数寄せられており、印刷および郵送等の費用として研究費の使用額は増額することが予測される。
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