研究課題/領域番号 |
18K10532
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
塩川 幸子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80723379)
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研究分担者 |
藤井 智子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20374796)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 保健師 / 看護過程 / アセスメント / 事例検討会 / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
2020年度は研究3年目であり、コロナ禍で延期した事例検討会を1回開催した。 継続的に実施した1か所のアクションリサーチの経過を記述し、介入の企画評価を行った。介入の第1段階として、企画担当者1名にインタビューを行い、個別支援の課題として地域での生活と家族をみる視点、経過や時間軸の視点の弱さが明らかになった。第2段階は企画担当者と研究者が課題からねらいを定め、介入計画を立案し実践した。研究者が家族看護と家庭訪問の意義、事例管理、感情労働の講義を行った。事例検討は3回実施し、継続支援事例、価値観が違う事例を取り上げ、実践力向上を図った。参加者は個別支援で必要な情報収集項目を学び対象理解を深めたが、包括的アセスメントや継続支援の判断、自信のなさが課題として残された。そこで、感情労働の視点で支援を振り返って語り、関係性をベースとしたアセスメント力の向上をねらった。介入として家族や生活、時間軸の見方の講義は、保健師の個別支援における情報収集項目の特徴をつかみ、家族の生活史をふまえた対象理解につながった。感情労働の視点での振り返りから、陰性感情を乗り越え対象者に向き合う決意がみられた。今後は、対象理解から一歩進み、ニーズの明確化と目標設定を重点とした事例検討の必要性が示された。 さらに、基礎教育において学生が捉えた保健師の個別支援の看護過程の特徴を看護師と対比して明らかにすることを目的に、保健師学生11名のレポートを質的記述的に分析した。保健師の看護過程では、幅広く柔軟な情報収集の枠組み、人生に寄り添い地域での生活に即した支援を考えること、QOLの評価と継続支援の判断を行うという特徴が見出された。 2021年度は3か所のフィールドの介入評価を行うとともに、保健師の個別支援のアセスメント能力向上のための看護過程の指導手引書を作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度後半からコロナ禍で予定していた事例検討会が一部延期となり、事例検討会の介入評価が遅れ、全体としてやや遅れが生じた。 また、コロナ禍で教育業務が増大し、研究の時間確保が難しく、さらに遅れが生じたため、研究期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
事例検討会への介入は2020年度で終了し、介入を行った事例検討会の評価と事例検討会におけるアセスメント能力の向上につながる効果的な意見交換内容を抽出し、分析中である。さらに、研究協力者である現場の保健師とオンラインも活用して連携しながら、保健師の看護過程の指導手引書の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により学会がオンラインに変更になったため、旅費は未使用となった。また、教育事務の増加により研究の時間確保が難しく、研究計画を見直すこととし、看護過程の指導の手引き作成を次年度に行うこととしたため、冊子の印刷代や郵送料等は次年度使用予定とした。
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