研究課題/領域番号 |
18K10532
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
塩川 幸子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80723379)
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研究分担者 |
藤井 智子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20374796)
水口 和香子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (20781462)
山下 千絵子 北海道科学大学, 保健医療学部, 助手 (30909312)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 保健師 / 看護過程 / アセスメント / 事例検討 / アクションリサーチ / 個別支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はアクションリサーチによる保健師のアセスメント能力向上を導く看護過程の構築である。事例検討への介入は2018~2020年度の3年間で終了し、2021年度は研究のまとめとして介入プロセスの評価を行った。フィールド3地区で初回介入時に行った「保健師の個別支援における看護過程の課題」に関するフォーカスグループインタビュー(FGI)には新任期・中堅前期保健師計27名が参加した。3地区のFGIの複合分析から、アセスメントと診断の課題が多く抽出され、それらがニーズを捉えた支援を困難にし、評価の難しさへとつながり、看護過程全体に影響を及ぼすことが示された。アセスメントでは地域での生活イメージが持てず家族の力の見極めが難しいこと、対象者と保健師の価値観の相違による戸惑い、判断根拠となる情報が取れないこと、情報を統合し全体像を捉える難しさ等が挙げられた。診断では時間軸で看護問題を捉えられない、その場でアセスメントしきれずニーズを特定できないことが挙げられた。これらの課題をふまえ、保健所研修企画担当保健師と研究者が共同でアセスメント力向上を目指した事例検討を企画運営した。A地区の事例検討の構成は、新任期の家庭訪問指導で振り返り時間の確保が難しいという組織課題も考慮し、新任期・プリセプター・管理期の保健師が事例検討に参加し、新任期のアセスメント力を見極めながら教育的関わりができるよう企画した。保健師経験年数別グループワークで事例への質問を検討し、全体討議で質問を活用しながら事例の対象理解に必要な情報とアセスメントの視点を共有した。さらに、検討した15事例のうち母子事例と高齢者事例の質問分析を行い、対象理解とアセスメントの視点の特徴を明らかにした。 2022年度はアクションリサーチの評価をもとに、個別支援におけるアセスメント力向上を目指した保健師の看護過程指導手引書を作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響による教育業務の増大から研究の時間確保が難しい状況が続き、アクションリサーチの評価を行ったが、研究結果をもとにした報告書作成が遅れたため研究期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
「保健師の看護過程の指導手引書」について、これまでの介入で把握した現場の課題やニーズと事例検討の企画を参考に案を作成する。研究協力者である現場の保健師とオンラインも活用して意見交換を行い、指導手引書の内容をさらに検討する。作成した指導手引書は現場の保健師に還元し、個別支援の現任教育に活用いただきたく方向性である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により学会がオンライン開催となり、旅費が未使用となった。また、教育事務の増大により研究の時間確保が難しく研究計画を見直し、看護過程の指導手引書については次年度完成を目指し、冊子印刷代、郵送費等は次年度に繰り越すこととした。
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