研究課題
本研究は高齢者を対象に補完代替療法のひとつであるタクティールケアを実施し、高齢者の睡眠に対する効果を生理学的・心理学的指標を用いて検証することである。本研究によりタクティールケアが高齢者の良好な睡眠を促す補完代替療法としての効果が確認されることにより、睡眠不足による認知機能の低下や転倒などの二次障害を防ぎQOLの維持に寄与する新たな看護介入の示唆を得ることができる。また、補完代替療法のエビデンス確立の一助となり、高齢者とかかわる医療・介護の場においての活用に繋がると考える。今まで高齢者の中でも介護施設に入所中の中程度から重度の認知症高齢者を対象に実験を実施してきた。結果としてタクティールケアの実施により生理学的評価である睡眠効率では、中程度認知症者の中には増加傾向がみられる者もいたが、重度認知症者では減少傾向がみられる者もいた。心理学的指標の日中の意欲では、向上を認める者もいれば変化がない者もいた。生理学的・心理学的にも個々による大きなばらつきが認められた。認知症高齢者の場合、通常の脳の神経伝達系機能とは異なり感覚機能の障害があることも指摘されているため、健常者と同じような介入方法ではなく、個々の睡眠リズムを確認しながら、タクティールケアの反応に合わせた回数や時間、部位を選んで実施する必要があることが示唆された。本年度はこれらの検証結果を日本看護科学学会学術集会にて発表した。また論文を作成し投稿準備中である。
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