研究実績の概要 |
2020年度は、前年度に実施した全国訪問看護事業所への量的調査から、新卒訪問看護師にとって必要な看護技術を明確にし、シミュレーション教材の開発を行った。 調査対象である全国訪問看護事業所の訪問看護師の回答では、新卒訪問看護師が身につけておくべき医療技術項目に有意な差はなく(医療技術項目:気管カニューレ, 人工呼吸器, 在宅酸素療法, 中心静脈栄養, 褥瘡の処置, 点滴・静脈注射, 膀胱留置カテーテル, ストーマ, 経管栄養, 麻薬を用いた疼痛管理等)、看護師国家資格合格レベルの基本的な知識と技術さえ身につけておけば良いとの回答であった。しかしながら、患者の自宅で看護を提供するといった訪問看護にとって必要な知識・技術は、礼儀正しい態度、患者や家族に配慮するといった、社会人スキルの獲得を新卒訪問看護師に求めていた。いわゆる、経験豊富な訪問看護師は、礼儀正しいことが新卒訪問看護師にとって最も重要だとの回答であった。 そこで、シミュレーション教材の一つとして、患者の自宅訪問時における適切な礼儀作法を学習できる教材を開発した。なお、今後、看護教員や熟練訪問看護師が簡便にシミュレーション教材の作成ができるよう、研究代表者のホームページにサブドメインをつくり、そのドメイン内でシミュレーション教材の編集と公開が同時にできるシステムを開発した。 次年度は、新卒訪問看護師が直面している、看護学生時代に学習した知識と技術を訪問看護の現場に適用し実践できるよう、教育と現場の隙間を埋めるシミュレーション教材の開発を行っていく予定である。
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