研究課題
本研究の目的は、後発開発途上国であり、保健指標の改善も遅れているラオス国農村部の少数民族居住地域において、女性の村落保健ボランティアの活動と妊産婦の健康状態及び保健行動、夫からのサポートとの関連を明らかにすることであった。初年度は、ラオス側の研究協力者と共に研究計画を作成し、琉球大学及びラオス側の研究機関の倫理審査の承認を受けた後、2019年3月にラオス語の無記名質問紙票を用いた量的調査及びインタビュー調査を行った。対象地域は、ラオス国サワナケット県セポン郡で、少数民族の居住する農村地域である。量的調査では、女性の村落保健ボランティアの活動地域と活動していない地域において、それぞれ19村122名、17村104名、合計226名の母親から調査の協力が得られた。質的調査では、女性の村落保健ボランティアの活動地域の母親10名、その夫9名にインタビューを行い、女性の村落保健ボランティア15名、男性の村落保健ボランティア15名にフォーカスグループインタビューを行った。2年目には、ラオスにて追加調査を行った。収集した量的調査についてデータ入力し、データの分析を開始した。質的調査については、逐語録を作成し、データ分析を開始した。3年目から5年目には、データ分析を行い、女性村落保健ボランティアと男性村落保健ボランティアのペアで支援を受けている母親の方が精神的な健康状態が良いこと、同じくペアで支援を受けている母親の方が、妊婦健診受診回数が多く、妊婦健診に関する知識が高いことが明らかとなった。また、女性村落保健ボランティアと男性村落保健ボランティアがペアで活動している地域に居住する母親は、より夫からのサポートを受けていることが明らかとなった。これらの結果について、論文投稿や学会発表を行った。
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