研究課題/領域番号 |
18K10543
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山田 紀代美 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60269636)
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研究分担者 |
菅 裕香 名古屋市立大学, 看護学部, 助教 (40808870) [辞退]
原沢 優子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70303774)
小出 由美 大和大学, 保健医療学部, 講師 (00840563)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / 難聴 / 意思決定 / アセスメント |
研究実績の概要 |
令和2年度においては、令和元年度に2施設の介護老人保健施設に勤務する女性の看護師7名(平均年齢:46.3±11.7歳,平均老健勤務歴:9.3年)に対して、入所中の高齢者の人生の最終段階等における意思確認について聞こえの認識と評価及びその対応に関するインタビューを行い得られた内容を質的帰納的に分析した。その結果、看護師は高齢者の聴力や聞こえについて【聞こえに関する認識の低さ】があり、それには【難聴を持つ高齢者への説明は無理という思い込み】が見られ,その結果基本的なフィジカルアセスメントなどの方法は用いずに、書類に記載されている情報などの【手近な方法で実施される難聴評価】となり、さらに【難聴を持つ高齢者とのコミュニケーションの回避】を行うという4項目のカテゴリーが得られた。 この様な看護師の高齢者の聞こえに対する認識であれば、高齢者の意思決定の基本となる高齢者の情報理解を促す、正しい情報を確実に伝えるという援助が行われていないことが推察される。 ただし、これらの結果は、関西圏にある2つの介護老人保健施設に勤務する看護師からのデータであることから、わが国の実情を判断する上では少ないと考え、今後は地域を広げ、看護師の人数を増やして実施する確認する必要がある。また、これらの聞こえの情報収集や評価に至る看護師の認識やその実施に影響する要因も併せて知る必要があると考えている。具体的には、看護師の聴力や聴覚に対する知識、コミュニケーション全般への興味や積極性などである。これらの調査を行うため、中部圏に加え関西圏にある介護老人保健施設の施設数やそれぞれの施設の職員数等に関する情報収集を行い、分析に必要な施設数及び看護師数を検討した上で量的調査を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、令和元年度の結果をさらに発展させ、施設入所中の高齢者の聴力と視力及び意思決定との関係を検討するための調査を計画していた。ところが令和2年の1月末から全国的に見られた新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、高齢者施設では感染防止のために、部外者の立ち入りは禁止措置が取られた。令和2年5月以降もコロナウィルスの感染は収束をすることなく8月にも第二波の感染拡大が見られたことから、計画を修正する必要性を感じその検討を開始した。当初の計画は高齢者の行動観察や視聴覚の検査等を行う予定であったが、研究者の入所施設への訪問自体が困難なことから、高齢者の主観から把握することを検討したものの自記式アンケート等への回答も難しいことから高齢者への直接的アプローチは不可能と判断した。そこで、研究方法を再検討することとなり、高齢者の意思決定に関わっている看護師に調査対象を変更することとした。それに伴い調査項目は高齢者の聞こえに関する情報を看護師はどのように取得しているのか、またそれに対する認識や対応方法を明らかにすることに決定した。さらに調査対象施設の選定も開始し、その調査地域の検討等も行った。調査をすぐにでも始めたかったが、高齢者施設は未だコロナワイルス感染の危険性は継続していることから、職員の緊張状況や業務の繁忙さは続いていることから、調査協力という新たな負荷を加えることにもなることから、調査時期への考慮を行っていたところ年度末の3月に至ってしまった。しかし研究期間も限られていることから、令和3年3月から調査依頼を開始し、令和3年4月末時点において、必要数の50%を確保したところである。
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今後の研究の推進方策 |
上記にも記載したが、令和3年度3月から調査対象者のリクルートを開始したものの、コロナウィルス感染の再拡大により、施設及び個々の看護師の調査協力が思うように得られずにおり、4月末の時点で目標の50%である。当初は、中部圏のみで目標数に達すると予測していたが、アンケートの回収状況が悪いことから関西圏にも拡大しているところであり、今後目標看護師数200名を目指してリクルートを継続していく予定である。 リクルートが終了後は、調査票の発送、そして回収を実施する。調査票回収後はデータの整理及び分析を行い、本研究計画の目的に沿った結果を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウィルス感染拡大により、高齢者施設で予定していた高齢者の聴力や視力の測定等に関する調査計画が全て中止となり、その調査に使用する予定であった機器等の購入の見送り、さらに調査に伴う人件費等の支出もな区なったことから使用額が予定よりも大幅に少なくなった。 今後は、調査方法等を見直し、調査はアンケート用紙の郵送法に切り替えているため、郵送費や調査用紙の印刷等の費用が発生する予定である。さらに、調査後はデータ入力等の人件費等に使用する計画である。
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