研究課題/領域番号 |
18K10543
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山田 紀代美 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (60269636)
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研究分担者 |
菅 裕香 名古屋市立大学, 看護学部, 助教 (40808870) [辞退]
原沢 優子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70303774)
小出 由美 大和大学, 保健医療学部, 講師 (00840563)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 意思 / 認知症 / 観察 |
研究実績の概要 |
本年度は、COVID-19の感染が未だに収束に至らなかったことから、高齢者との直接的な接触を伴う研究計画を変更し、認知機能の低下した高齢者の意思決定に重要な役割を担う施設で働く看護師を対象にアンケート調査を計画した。 認知機能の低下した高齢者の意思決定を支援する場合には、高齢者の同意能力すなわち(1)選択を証拠づける能力(2)適切な情報を理解する能力(3)自己の置かれている状況 、結果を認識する能力(4)情報を論理的に操作する能力を見極めることが重要である。中でも情報を理解する能力の前提条件としてその情報を聞き取る能力を判断することやそれ合わせた支援することが特に重要である。 以上から、2021年度は介護保険施設で働く看護師の高齢者の情報を入手するための機能として聴覚(聞こえの状況)についてどの程度の情報を入手しているのか、その実態について調査を実施した。対象は、愛知県をはじめ5県1府における入居者定員100名以上の介護老人保健施設28施設で働く185名の看護師である。結果は、診療情報提供書から難聴履歴の情報を得る者が168名(90.8%)、高齢者本人に聞こえの程度を尋ねる者が166名(89.7%)と多かった。一方難聴スクリーニングとしての音叉2名(1.1%)、指こすり法7名(3.8%)、指タップ法8名(4.3%)、ささやき声法31名(16.8%)、電子体温計終了音は16名(8.7%)と実際的な評価法を用いている者は少なかった。そのほか『高齢者の聞こえに対する反応』や『高齢者自身の聞き取ろうとする意図的行動』を観察している看護師も存在した。 今後、これらの結果をより詳細に分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年から日本中に感染が拡大したCOVID-19により、施設に入居中の高齢者への接近、接触等がほぼ不可能となり、当初の高齢者の表情や行動を観察するという研究計画では実施できなくなり、その計画の変更等を検討する必要性があった。さらに、対象を高齢者から看護師に変更し、調査方法も直接的あ観察法からアンケート調査に変更はしたものの、2021年度の年度の初めから、高齢者施設ではクラスターの発生などがあり、調査依頼への協力も思うように得られず、必要数の看護師を確保するのに3か月ほどを要した。これらの対応のために研究実施が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
未だCOVID-19の感染は収束はみていないもののワクチン接種や治療薬の見通しが立つ等により、高齢者施設での看護学生の実習も受け入れが再開されるなど、外部の者が施設内に入ることが段階的に許可され始めている。それに伴い、研究も徐々に可能となってきていると判断されることから、当初の計画にのっとり、高齢者自身の意思決定場面における高齢者の聴力や視覚の影響についての聞き取りや観察等に関する当初の研究計画を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年から始まったCOVID-19の影響により高齢者への直接的接触が求められる研究はすべて中止せざるを得なかったため、当初予定していた高齢者の聴覚や視覚を測定するための機器の購入等はすべて延期していたことが影響している。 2022年度はこれまでよりも高齢者施設での調査も可能性が出てきたことから、研究計画にそって高齢者の直接的な視聴覚機能の測定を実施できるのかを施設と交渉し、可能であれば計画を実行に移していく予定である。
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