研究課題/領域番号 |
18K10545
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
根来 佐由美 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (50508794)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フレイル / 高齢者 |
研究実績の概要 |
2019年度は、2018年度から実施している自主サークルに所属している高齢者のフレイルに関する実態調査や介入調査の結果を分析し、学会で報告した。 ①女性高齢者110名を対象にフレイルと身体心理社会的特徴との関連を明らかにした。平均年齢76.3±4.3歳、腰痛あり62名(56.4%)、膝痛あり57名(51.8%)、外出の支障あり14名(12.7%)であった。対象者の約2割に転倒リスクがあった。フレイルは14名(12.7%)、プレフレイルは53名(48.2%)であり、独居や腰痛、痛みに伴う外出の支障がある者の方がフレイルもしくはプレフレイルの者の割合が有意に高かった。定期的に活動している高齢者であっても半数がフレイルの予備群であり、活動的な高齢者に対しても、居住形態や痛みを考慮しながらフレイルの進行を予防するかかわりの必要性が示唆された。 ②自立高齢者のフレイル対策の効果の検証としては、3か月間、週1回サークル活動日にあしゆび体操を行い、前後で各種測定とフレイルチェックを実施した。分析対象132名の平均年齢は76.1±4.3歳、後期高齢者は84名(63.6%)であった。握力、足指力とも介入前後で有意に増加した。転倒リスクが解消した者は17名(12.9%)であった。フレイル状況は27名(20.5%)が改善し、腰や膝痛は約3割の者が軽減していた。足の自覚症状は、介入後に改善者が多かった項目は、「靴底の減り」「疲れやすさ」「すり足」「こむら返り」等であった。意識的にあしゆび運動に取り組むことで、筋力の増加は期待できると考えられるが、転倒リスクが生じた者もいた。これは、実施時期が冬季であり、寒さも影響した可能性に加え、3か月間運動を継続したことによる一時的な身体的へ負荷も考えられる。自覚症状では、自分の足や身体に関心を持つことで、これまであまり意識しなかった症状に気づいた可能性もある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年度から継続して継続的に情報収集しており、介入後に定期的に経過観察のための測定やその結果の分析をすすめている。介入直後のデータ収集まではできたが、2020年1月以降、感染症拡大の影響によりデータ収集が中断しているため、経過観察のデータ収集が出ていない。そのため、1月以降はこれまでに得られたデータの分析を中心に進めている。 また、高齢化がすすむ過疎地域での実態調査も予定していただが、感染症拡大の影響により、まったく着手できていない状況である。 今後の調査場所や方法、分析方法の再調整を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降は引き続き、これまで収集できたデータの分析をすすめる。また、データ収集が可能となり次第実施することとする。しかし、介入調査においては、対象者が活動の自粛や中止をしているため、当初予定していた介入効果の観察は難しいため、研究方法を再検討する。また、2019年度の研究成果は、学会での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、当初は3地域の調査実施する予定であったが、実施したのが1地域のみであったこと、事務補助員の人件費を計上していたがデータ収集は対象地域の協力により、予定していた額の人件費の執行にはいたらなかった点があげられる。 現在、新型コロナ感染拡大の影響で、研究自体が実質中断している。今後、介入調査の内容の変更の検討をしており、次年度は事務補助員を雇用し、あらたな調査の準備や実施を行う予定である。
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