研究課題
本研究は、医療・介護職場におけるメンタルヘルス一次予防のための包括的職場環境改善プログラムを用いたクラスター無作為化比較試験を実施し、ストレス対策の効果を精神的健康度や労働生産性とストレスバイオマーカーを含む身体指標を用いて重層的に検討するものである。医療・介護職場で働く労働者が心身共に健康的で安全に働き続けることのできる職場環境の構築を目指し、職務特性や労働条件に応じた実効性の高い組織レベルの包括的職場環境改善プログラムを開発し、医療・介護職の労働生活の質(QOWL)の向上、質の高い医療・介護サービス提供、これらを通じたサービス利用者のウェルビーイングやQOWL向上に貢献することを目指す。研究1年目の2018年度は、医療・介護職場ですでに実践されているメンタルヘルス一次予防に役立った包括的職場環境改善の良好実践事例と医療・介護職場での安全・健康課題について事例収集し、医療・介護職場介入プログラム要件を整理した。文献検索ツールを用いた文献レビューに加え、職場環境改善の実践をしている病院関係者のヒヤリングを実施した。メンタルヘルス一次予防に役立った包括的職場環境改善としては、幅広い視点での職場環境に目配せし、すぐに取り組める実行可能な改善を提案すること、この取り組みに多くの職員がコミットメントしていく仕組みを構築していくことが重要であることが示唆された。あわせて、取り組みをサポートする産業保健専門職等のファシリテーターの役割が重要であることも指摘された。これらの知見をもとに、医療・介護職場におけるメンタルヘルス一次予防のための包括的職場環境改善プログラムを複数の職場で実施していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
医療・介護職場ででのメンタルヘルス一次予防に役立った包括的職場環境改善の良好実践事例は、文献研究に加え、実際に職場環境改善に取り組んだ病院関係者からのヒヤリングが実施できた。これらの知見から、メンタルヘルス一次予防に役立った包括的職場環境改善の介入プロトコールを作成する際の留意点が整理できたため。
2019年度は介入研究を実施予定であるが、研究協力施設の要望により介入時期は9月以降となった。そのため、介入後評価が年度をまたぐ可能性がある。研究倫理審査等、必要な準備を上期に行い、下期は介入調査をスムーズに運営できるよう、準備するとともに、介入調査に携わる協力研究者、研究補助者と連携をしていく必要がある。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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https://doi.org/10.1539/joh.2017-0314-OA