研究課題/領域番号 |
18K10560
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
濱吉 美穂 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (80514520)
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研究分担者 |
河野 あゆみ 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (00313255)
松岡 千代 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (80321256)
阿部 慈美 佛教大学, 保健医療技術学部, 助教 (10823297)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ACP / 地域包括ケア / 意思決定支援 / エンドオブライフケア / 人生の最終談大 |
研究実績の概要 |
本研究は地域包括ケアにおける医療職と介護職が共有するACPガイド冊子・ガイドラインを作成しその効果を評価することを目的としている。現在のところ、3つのプロジェクトを同時並行に実施しながら、開発・実施・検証のプロセスを踏んでいる。 ①一般市民へのACPガイド冊子を用いた教育啓発効果評価:一般市民への教育介入は終了し、実施前・後のデータは収集でき、解析を進めている。 しかしながら、3か月後のデータ収集に関しては、コロナ禍が続き緊急事態宣言や医療崩壊の現状が続いており、対象者が高齢者が多いということもあり実施できていない。参加者の総数は87名、質問紙への有効回答は65名(74%)で参加者の平均年齢は70.09歳であった。主治医のACP経験者は3名であったが、家族と人生の最終段階の事について話したことがある者は36名と半数を超えていた。研修前後において事前指示書作成への前向きな態度を示すAD態度尺度は、8.34から9.35へ有意に上昇した(p=.021)。 ②地域包括ケア多職種専門職者へのACPガイド冊子を用いた教育啓発の効果評価(地域B):地域包括ケアの多職種専門職者への教育啓発活動は終了し、実施前・直後・3か月後の状況確認の質問紙調査は実施したが、コロナ禍で緊急事態宣言下が続いており、1年後の状況調査のデータ収集ができていない。 ③ACPガイド冊子・ガイドラインの開発と効果検証I(地域A):地域包括ケアチームによって地域包括ケアシステムで活用するためのACPガイド冊子の開発を終えた。ACP実施ガイドラインの開発・検証に関しては継続中である。コロナ禍による緊急事態宣言の発令で当初予定の対面会議や活動が長期間実施できず、オンライン会議で代替実施しているが、当初の予定通りに進んでいない。活動実施前・1年後の質問紙調査は終了しているが、最終データはプロジェクト途中のため未収集である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①一般市民への教育啓発は終了し、実施前・直後のデータは収集できたが、3か月後はコロナ禍で深刻な状況になったため、データ回収ができていない。 ②地域Bへの教育啓発と教育前後のデータ収集は終えているが、3か月後、コロナ禍で緊急事態宣言が発令され医療崩壊危機などとなり、データ収集が途絶えている。 ③コロナ禍で緊急事態宣言の発令や医療崩壊の危機といった状況により、これまで地域包括ケアにおける専門職によって形成しているACPガイド冊子の活用に関するチーム活動に支障をきたしている。チーム活動会議については、オンライン開催に切り替えて実施している。当初の予定では通常であれば最終データ収集を終えているはずの時期であるが、未だ最終の会合日程が決められず最終データの収集が未達成の状況である。
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今後の研究の推進方策 |
年度内には、第6回目のチーム活動会議を開催して最終データを収集する予定にはしているが、現状の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況によっては難しくなる可能性も視野にいれて、他のデータ収集方法を模索する必要がある。 しかし、コロナ禍で思うように地域包括ケアの現場において患者や利用者と落ち着いた状況でコミュニケーションがとりにくい状況も続いているため、当初のようにACPガイドラインとガイド冊子を用いたACP実施の想定したような効果評価は難しい状況にあるといえる。 計画内容を縮小させ、ACPガイド冊子とガイドラインの活用と、ACPガイド冊子を用いた地域包括ケア専門職者に対するACP普及啓発による効果評価をまずは丁寧に評価することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた学会参加や発表に向けた旅費の支出がなかった事と、研究協力者との会議や介入実施等の会場費や人件費の支出がなかった事により、残額が出た。本残額については、次年度に未だ実施できていないデータ収集、会議、学会発表、論文化に向けた翻訳費用等に使用する計画である。
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