研究課題/領域番号 |
18K10566
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
北宮 千秋 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10344582)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 災害看護 / 自治体職員 / 健康課題 / 保健指導 |
研究実績の概要 |
東日本大震災に続く福島第一原子力発電所の事故による複合災害に対応している自治体職員の自治体機能帰還時期における健康相談ニーズ(健康課題)を明確にするとともに、健康支援プログラムの効果を検証することを目的とする。 初年度は、健康相談事業の運営に関する基礎をつくる活動を行い、7回の健康相談を開催した。また、施設側から、研究としての健康相談の実施の承認を得た。事業実施回数は、被災町の本庁舎と他自治体に設置されている事務所において開催を計画し、本庁舎5回、事務所2回の実施となった。相談来室者数は延158名、相談員数延28名となった。相談来室者の内訳は、20代11名、30代28名、40代40名、50代52名、60代27名であった。どの年代も相談を利用しているが、50代が最も多く利用していた。また、事務所での開催を総務課と相談し、1回の開催を予定していたが、事務所職員の要望で2回目を開催することとなった。健康相談の機会を心待ちにしている職員も見受けられた。 具体的には、7月開催の健康相談では、24名の職員が来室し、9名(38%)が眠れないとした。フェイススケールで少しでも口角の上がった顔を選んだのは10名(42%)であり、口角が下がった顔を2名が選んでいた。多くは口角が一の字を選んだ。血圧が正常値を超える者はいなかった。11月開催の健康相談では、31名の職員が来室し、1名(3%)が眠れないとした。帰還後日数を経ることで、当初持っていた心配事が解決されることにより、将来の見通しがたち、不眠傾向が解消されつつあることが考えられた。フェイススケールでは、8名が口角上昇顔を選び、8名が口角下降顔を選んでいたが、口角下降顔を選んだ来室者も相談後は一の字や口角上昇顔へ移行していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健康相談開催自治体の了承が得られ、継続的に健康相談の開催が行われていること。 開催回数は、自治体の受け入れ状況を確認しながら、相互に意見交換しながら、実施に至っていること。また、年間7回程度の受け入れが行われていること。昨年度健康相談実績より平成30年度実績が上回る状況にあったことによる。健康相談開催時には当該自治体職員の協力体制も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、自治体職員の協力体制を維持しながら、継続的に健康相談事業を運営していくことが必要である。また、相談員として、研究協力者が多くの時間を使い、本研究への参加を行い、社会貢献としての意義を感じ取っていることから、双方の期待に添いながら、事業運営を進めることにより、研究を進めていきたいと考える。 移動に5時間程度を要することから、現状での遂行上の課題は、遠隔地である地域への継続的な支援を続けるモチベーションを保つことにある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は事業実施に際し、旅費を多く計上していた。基盤を作るための研究代表者の旅費を主体として支出していた。次年度以降は、相談員の旅費として予算を使用すると共に、研究成果の公表や専門家との意見交換等に旅費を使用していく予定である。また、健康相談記録のデータ化を進めていく予定であり、謝金の支出が生じる予定である。また、機材費として、健康相談に使用する測定器機の購入を行う予定である。
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