研究課題/領域番号 |
18K10573
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寺岡 佐和 九州大学, 医学研究院, 教授 (60325165)
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研究分担者 |
鳩野 洋子 九州大学, 医学研究院, 教授 (20260268)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 園芸活動 / 認知症高齢者 / 認知症予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、福岡市内に所在する小規模多機能型居宅介護において、認知症である施設利用者(以下、利用者とする)と認知症でない地域のシニア世代のボランティア(以下、シニアボランティアとする)とを混合の対象とし、これまでに研究者が開発してきた認知症の重症化予防に効果的な園芸活動を行うものである。これにより、シニアボランティアの認知症の抑制や遅延、早期発見にも有効な、予防的ケアとして活用でき、さらに、認知症者への理解促進にも効果的な園芸活動プログラムを検討し、開発することを目指している。 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、今年度もほとんどの期間、施設では研究者も含め、外部からの訪問が制限された。そのため、園芸活動によるシニアボランティアへの効果についてはデータ自体を収集することができなかった。 また、研究者は一時的に施設への訪問が可能となった時を利用し、1回のみ利用者が小集団で園芸活動を行う日に訪問することができた。なお、利用者との接触は禁じられていたため、園芸作業(チューリップの植え付け作業)の様子を遠くから見学するのみであった。その訪問の直後、再び外部からの訪問が制限されたため、利用者は当該年度も園芸活動を施設職員と行い、活動時の利用者の状況は施設職員から研究者へ情報提供がなされた。 園芸活動では、例年と同様、夏野菜や冬野菜の栽培のほか、花の寄せ植えやチューリップの植え付けなどを行った。 施設職員からは、利用者が植物の生長を観察し、その変化について他者と活発に会話したり、収穫後の利用について語る様子が報告された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
身の回りの状況をみると、今年度は、前年度に比べ、新型コロナウイルス感染症への警戒レベルが下がった印象を受けていた。しかし、周期的に感染者の増加がみられたためか、研究を行っている施設では、研究者やシニアボランティアなどの訪問について、なかなか制限が解除されない状況が続き、園芸活動に研究者やシニアボランティアが参加することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も施設への訪問が可能となるまでは、感染予防のため、施設職員と利用者とで園芸活動を継続することとするが、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられることにより、次年度は、研究者の参加が可能になるのではないかと期待している。 今回の新型コロナウイルス感染症に限らず、新興感染症に対応できる研究の実施方法については、引き続き、施設管理者や施設職員と検討していきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の初年度(2018年度)は、所属機関倫理審査委員会の開催スケジュールの都合により、研究の開始が遅れたため、次年度(2019年度)使用額が生じた。 また、2年目となる2019年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、3月から研究者参加による園芸活動の実施や施設へのシニアボランティアの出入りが制限されたことで、次年度(2020年度)使用額が生じた。 2020年度から2022年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が続き、園芸活動にシニアボランティアや研究者が参加できなかったため、次年度(2023年度)使用額が生じた。 2023年度は、引き続き利用者と施設職員とで園芸活動を継続しながら、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げにより研究者等の出入りが可能となる時に備えるとともに、新興感染症に対応可能な実施方法についても検討を続け、園芸活動を活発化したいと考えている。そのため、今回生じた次年度使用額が必要となる。
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