本研究は、小規模多機能型居宅介護において、認知症である施設利用者(以下、利用者とする)と認知症でない地域のシニア世代のボランティア(以下、シニアボランティアとする)とを混合の対象に園芸活動を行うことで、シニアボランティアの認知症の抑制や遅延、早期発見にも有効な、予防的ケアとして活用でき、さらに、認知症者への理解促進にも効果的な園芸活動プログラムを検討し、開発することを目指していた。 初年度(2018年度)はプレテスト的に実施し、翌年度からは本格的にシニアボランティアの協力を得ながら遂行していたが、年明けの新型コロナウイルスの感染拡大により、外部からの訪問が不可能となり、その状況は2023年6月まで継続した。 その間、いつでも研究を再開できるよう、利用者と施設職員とで園芸活動を継続してもらった。施設職員と研究者は対面での打ち合わせが困難であったことから、電話やメール、遠隔会議システムを駆使しながら、活動内容や活動状況について情報共有や検討を行った。 研究期間全体を通して、シニアボランティアの参加は短期間であったが、園芸作業を通して、利用者の言動から認知症の症状を理解したり、認知症であっても個々人が様々な能力を保持していることを感じたりしていた。また、参加を重ねる中で、利用者の状況に応じた施設職員の対応を参考にし、自らの対応に取り入れることができていた。 さらに、施設職員は、利用者のコロナ前と変わらない日常の様子から、コロナ禍においても園芸活動を継続したことが、利用者の混乱を防ぐことに寄与した可能性があるのではないかと考えていた。
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