研究課題/領域番号 |
18K10574
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
竹山 ゆみ子 宮崎大学, 医学部, 講師 (90369075)
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研究分担者 |
永松 有紀 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (20389472)
澤田 浩武 宮崎大学, 医学部, 教授 (40332895)
甲斐 由紀子 宮崎大学, 医学部, 教授 (70621803)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 栄養評価指標 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えている日本において、健康寿命の延伸に向けた介護予防と要介護状態の重度化予防は喫緊の課題である。超高齢社会において課題とされていることの一つとして栄養状態の維持・改善があるが、中でも男性高齢者の1.5倍となる女性高齢者は、70歳以上になると顕著な運動器障害を生じ、要介護状態に近づくことが推測される。そこで本研究では、高齢者に対する非侵襲的な栄養評価システムの構築に向けて、口腔ケア時に確認可能な「舌色」の栄養評価指標としての有用性を検証する。 2018年度は、前回の研究結果を基に、データ収集項目についての再考、研究協力予定の介護老人保健施設2施設との調整、地域在住高齢者の協力依頼方法・データ収集時期等の調整を行った。また、高齢者のフレイルや栄養評価に関する文献検討も実施した。データ収集項目として、収集する血液データへの亜鉛の追加を検討することとなった。口腔機能評価として口唇閉鎖力を測定予定であったが、使用機器の製造中止に伴い、付属の消耗品も含めて入手困難となったため、代替可能な機器について共同研究者と検討した。介護老人保健施設については、採血による高齢者への身体侵襲を最小にするため、施設の採血実施時期に合わせて実施する予定であったが、協力施設の業務体制の変更に伴い、現在、調整中である。地域在住高齢者については、約30名が参加を希望されているが、研究協力による身体侵襲を最小にするための方策を検討中である。また、地域在住高齢者は、介護老人保健施設入所者のように専門職による口腔ケアが日常的に実施される機会が少ないため、舌のどの部位が舌苔の影響が最小であるのかについても検討する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔機能評価の測定のため使用予定であった口唇閉鎖力測定器が製造中止となってしまったことにより、代替可能な機器を検討したが、成人期以降への使用実績が少数であった。収集データの正確性が担保できない可能性が回避できないと判断し、この機器の使用は断念した。文献等で再考したが、口唇閉鎖力の測定機器で、地域や施設等に持ち込み可能で、高齢者の侵襲が少なく測定可能なものは、見つからなかったため、口唇閉鎖力を測定項目から除外するか否かの再検討が必要となった。また、協力予定の介護老人保健施設の体制の変更に伴い、倫理申請時の協力者の倫理講習参加可能時期と施設での採血実施時期のタイミングが合わず、2019年度の9月以降に持ち越しとした。地域在住高齢者に関しては、データ収集場所等の調整中である。以上のことより、本研究の進捗状況はやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、データ収集を実施・検討し、栄養状態評価スケールについて検討する予定である。介護老人保健施設でのデータ収集は、9月と3月に実施する予定であり、地域在住高齢者のデータ収集は、8月~9月および2月~3月の間で調整予定である。また同時に、前回の研究で、介護老人保健施設入所高齢者の参加者数が少数であったことを考慮し、2施設以外の協力可能施設も検討する。地域在住高齢者は約30名の参加希望が予定されているので、研究参加による侵襲を最小にするため、詳細な検討を行う。データ収集後、結果の検討を行い、研究実施内容について再検討する。舌の画像データに関しては、収集データ4か所のうち、どの部位が有用性が担保されるかについても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に実施予定であったデータ収集が実施できなかったことにより、衛生材料等を含む消耗品の購入、血液データの測定費用等を使用していない。本研究において血液データの測定費用が1件につき約8000円となる予定であるため、参加者を介護老人保健施設と地域在住高齢者で100名予定していたことから、残額が多くなっている、また、購入予定であった、口唇閉鎖力測定機器を購入できなかったことも影響する。2019年度は、2018年に生じた事項を修正したうえでデータ収集を実施する予定であるため、当該年度の支給額と合わせて、高額となる血液データの測定費用等に使用する予定である。
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