研究課題/領域番号 |
18K10576
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
原沢 優子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70303774)
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研究分担者 |
平山 亮 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10728075)
伊東 美緒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20450562)
島田 千穂 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30383110)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 共在感覚 / 看取りケア学習 / 特別養護老人ホーム / ペルソナ映像教育 / グループセッション / 新人教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、学習者が看取りケア場面に対して共在感覚を持つことができる看取りケア教材・学習方法の開発と看取りケアの質に与える影響の検証を最終目的としている。 本年度は、初年度計画として、①看取りケア学習法の開発に関わる情報収集を目的に、研究者がこれまでに開発したペルソナ映像教育を用いた学習会の開催を実施した。対象は、東京都近郊と愛知県内の特別養護老人ホームの職員のうち、看取りケアが未経験である人とした。方法:対象地区の特別養護老人ホームへ看取りケア学習会への参加を呼びかけ、参加希望者を募り、2018年5月と7月に各1日の研修を実施した。対象者へは研修参加の条件として、事前にペルソナ映像教育による学習を条件とした。研究者が開設するHPから映像教材を視聴し、事前送付している課題を実施してくることがその学習である。事前学習を実施せずに研修に来場した人へは、会場において同様のペルソナ映像教材が視聴できるように準備を行い、視聴後に研修への参加を行った。研修は、グループセッションの形式で行い、同じ条件の学習レディネスを持つ参加者が研究者らが計画したプログラムに沿ってディスカッションをする学習会として進行した。研究者らは、各グループのファシリテーターとして介入し、学習の進行を促した。 本研究で開発を狙いとする「共在感覚」の育成に必要な学習ツールとして、同じ体験と同じ学習ステップを踏むことが有効であるか、確認することを一つの課題としていたが、同じ教材を使った同じ体験と学習により、職場や経験年数、職種が異なるグループにおいてもディスカッションするテーマに沿った進行ができることが確認できた。しかし、2018年度の学習会の詳細なデータ分析がまだ滞っており、計画がやや遅れている。2年目は、本データ分析を行うとともに具体的な教材作成に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、2018年5月と7月に実施した看取りケア学習のディスカッション後の結果分析を踏まえて、「共在感覚」を育成する教材開発のデザインを企画するところまで進行したいと考えていたが、大学教員の本務の一つである学部の実習指導の進行において他教員のフォローアップ、実習施設での感染症患者発生(疥癬2回、インフルエンザ流行)の影響を受け学生の実習体制の組み直しや学生への感染予防対策の実施など通常外の対応を要する出来事が数回起きた。結果として補習実習の実施を要するなど、本研究を実施する時間の確保ができなかった。 また、研究者本人も感染症に罹患し、休暇取得後の復帰による大学業務の多忙さ、体力の不足により本研究を遂行することができなかった。更に、2018年度の後半に本研究チームメンバーが厚生労働省の老人保健事業推進費等補助金を取得したことを受け、その業務を優先して協力したことも本研究の進行の遅れに影響した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、研究メンバーが1名職場を異動するが、教材開発にかかる日数を含めた年間計画を立てて調整を行い実施する予定であり、研究メンバーからも本件について同意を得ている。秋には、国際学会発表での発表も決定しており、本研究テーマについて諸外国の事情を情報収集できる機会にも恵まれている。 一方、大学教育の本務体制に課題が2019年4月から生じている。大学教育の業務において職員1名が休職しており、かつ人員補充がない。休職は当面継続の様相であり、この教員が実施する予定の演習や実習の科目責任者が本研究代表者である。そのため、演習や実習にかかる準備・運営の負担がすべて本研究者一人にかかっている現状と今後も続く状況が回避できない。研究を計画通りに遂行ために、対策の一つとして人員を確保するための申請と書類作成を実施しているが、人員不足の影響は免れることができないと予測され、現段階では進行の先行きは不透明である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究計画の遅れ欄に記載した理由により「共在感覚」を学習するための教材開発の実施までに至らなかった。本予算は、主に教材作成用の予算であり、その分を次年度の使用として教材開発に使用する予定である。
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備考 |
使用したペルソナ映像教育の教材を公開している。
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