研究課題/領域番号 |
18K10578
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
志澤 美保 京都府立医科大学, 医学部, 准教授 (00432279)
|
研究分担者 |
星野 明子 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (70282209)
義村 さや香 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80751776)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 子育て世代包括ケア / SST / 事業評価 / 養育者支援 / 気になる子ども |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、少子高齢化が進んでいる農村地域において、切れ目のない子育て支援に必要なネットワークや体制づくりを構築することである。2年目は、対象地域の子育て計画策定のためのニード調査とSSTを実施した。 ニード調査は0歳児から学童就学後(小学6年生まで)の児をもつ養育者19人を対象に、質問紙および半構造化面接調査を実施した。質問紙はフェイスシート、および日本語版WHO-QOL26、肯定的・否定的養育行動尺度(PNPS)について回答を得た。面接は、インタビューガイドを用いて日常の困難点等を聞き取った。WHO-QOL26の得点は高く、A町での生活に対して不満がない人が多かった。養育態度では、肯定的な態度は高いが、否定的な態度では一貫性が低い人がいた。インタビューでは、産後の精神的しんどさなど一般的なものと、医療機関が遠いなどの社会資源の乏しさなど農村地域ならではのものがみられた。今後は、これらの抽出できた課題に対して協力機関と共に支援施策を検討していく。 昨年度から準備していたSSTは今年度より再開し、事前・事後調査を含め計画通りに実施した。SSTは年に3回、全年長児17名およびその養育者を対象に町営保育園の合同保育の一環として実施した。各SSTプログラムは、1)各回に設定した目標に基づいた活動プログラム、2)ルールを守って楽しく遊ぶことを目的としたプログラムの2つであった。また、この活動と連動させ、SST活動同日に年長児の養育者を対象に講習会を実施した。加えて、プログラム内容を日常保育の中で反復し取り入れ、担任が各々の園児に肯定的なフィードバックを行ったことや、保護者の家庭でのかかわりなどが、子どもたちの行動変化に影響を与えた可能性が示唆された。養育者講習会については、参加者の満足度は高かったが、参加率が低かったことへの対応として保護者が参加しやすい方法や内容を検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、今年度引き続き継続するSST実施に向け、今年度対象者への説明文書の作成、および事前調査準備をしている。コロナ感染症対応にて当初予定としていた8月末からの年3回実施については変更し、10月から1月までの期間に実施できるよう再調整中である。今後については、行政方針および現地での対応を鑑みながら日程を調整していく。 SSTの調査についてはSST実施の有無とは別に実施することで調整ができているため、6月末に向け、調査票の準備等も進めていく。 昨年度の実績については、学会等で報告予定であるため、評価指標の分析、考察を随時進めていくこととする。
|
今後の研究の推進方策 |
概ね、計画通りに進展しているため、研究計画書に沿って進める。 ニード調査については、結果をまとめ学会等に発表していく。 SSTの介入については、コロナ感染症対策の動向に合わせながら、事業2年目として運営していく。評価のための質問紙調査については、予定通りの日程で行い、SSTを実施できなかった場合においても何らかの形で対象者支援につなげられるようフィードバックしていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度の後半より、コロナ感染症対策の必要があり、現地に赴くことが不可能となったことなどから旅費や調査補助者への謝金などが使用されなかった。したがって、基本的には、研究計画書に基づき進めていくが、情勢を鑑みながら現地協力機関と調整し、研究の進行に合わせ、ニード調査の結果報告やSST運営に際しての旅費、調査補助者への謝金等に使う予定である。
|