研究課題/領域番号 |
18K10581
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
石井 敦子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (30405427)
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研究分担者 |
BECKER CARL.B 京都大学, 政策のための科学ユニット, 研究員 (60243078)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 在宅療養 / 意思決定 / 意思決定支援ツール / マンガ / 生活イメージ |
研究実績の概要 |
超高齢国の日本にとって、終末期医療のあり方は大きな社会的課題となっている。在宅医療の推進に伴い、療養者と家族は生活の場で医療にかかわる選択を求められる機会が増えている。療養者と家族の生活に直結する重要な意思決定であるのに、経験知不足から人工呼吸器や胃ろう等を選択した生活を想像できず、意思決定ができない困難が大きな課題となっている。本研究は、在宅高齢者の意思決定支援として、選択した先の生活イメージを理解しやすくする「マンガ」を活用した意思決定支援ツールの開発を目的とする。これまでの意思決定支援ツールは、治療による身体的影響に重点を置いてきたのに対し、本研究で開発するツールは、介護と選択後の生活に重点を置き、後悔のない選択ができることを目指すものである。「マンガ」という視覚媒体は、絵を追うだけでもストーリーが理解でき、生活描写を視覚的に受け入れやすい表現できると考える。 研究の方法としては次の三段階で進めた。第一段階として、在宅療養における意思決定の現状や課題の把握を行った。意思決定支援ツールの題材となる意思決定が求められる場面、療養者や家族の困惑や悩み等に加え、意思決定後の生活とそれを事前に想像する能力のギャップについても具体的に把握し、ツールで何を取り上げていくかを検討した。第二段階ではツールの試作品を作成する。アンケート調査およびインタビュー調査で収集したデータを分析し、ツールに用いる複数のモデルを抽出した。分析は諸モデルの妥当性をはじめ、倫理的問題なども含め共同研究者とともに検討した。第三段階は試作品による試行である。 2018年度に実施した研究の成果として、在宅療養における意思決定の現状を把握し、ツールの試作品を作成し、その試行に至ることができた。今後の課題としては、試行を重ね、評価により抽出された改善点等を踏まえ意思決定ツールの開発を行うことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は試作品の試行を重ね、ツールの完成を目指す。試行が始まったばかりであるが現段階で本研究で開発する意思決定支援ツールの活用にあたっては、実際に活用する在宅療養に関わるケアスタッフによる意思決定へのかかわりに関しての理解が前提として十分であることが必要であり、そのためには医療者に対する研修等の重要性を認識している。したがって、開発したツールの活用を見据え、ケアスタッフを対象とした研修も並行して実施しながら研究を進めていく予定である。 2020年度は完成した意思決定支援ツールを広く活用し、その評価を行う予定である。
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